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地元の公立小中で大丈夫

納得感がなくて、困惑を誘い、不安ばかりかきたてる、イヤな記事を見つけてしまいました。
朝日新聞出版のdot.というサイトの教科書薄すぎ? 公立小のジレンマという記事です。
公立の場合、小学校や担任によって“当たり外れ”があるのは、たぶん記事の言う通りだと思います。
しかし、記事の中で増田修治・白梅学園大学子ども学部教授が助言する内容というのが、
「先生にちゃんと教えてほしいと要求してください」
というもの。
えっ?
それを要求できないレベル、要求する気になれないレベルの“外れ”の先生がいるからこそ、親は困っているのですが。
やっぱり公立はダメなのかしら、と不安になってしまいます。
しかも、増田教授は「教員時代、忙しくて時間がない働く母たちに」、なんと「リビング学習をさせること」を勧めておられたそうです。
「家事の合間に子どもの勉強を見られるから」とのことですが、それがなかなか大変だから、みんな困っているのではないでしょうか?
子どもの勉強を見てあげられない自分はダメな親なのかしら、と不安になってしまいます。

思うに、みなさん、学校に期待しすぎです。
そして、いわゆるお勉強を重視しすぎです。

学校なんて、読み書き計算と、集団生活に適応する訓練の場、それだけです。
集団生活に適応する訓練とは、例えば、決まりを守るとか、我慢をする、話し合いをする、折り合いをつける、など協調性を身につける練習です。
その訓練をするために、教師は必要不可欠のパーツではありません。
校舎という箱があって、その中にお子さんを含む生徒群がいれば、訓練は可能です。
「“外れ”の担任のせいで学級崩壊している、決まりだの話し合いだのという段階にすら達していない」
という場合も、それは、集団生活に適応する訓練が、崩壊している集団を立て直す訓練に変わっただけ。
訓練の難度が少々上がるだけなのです。

いわゆるお勉強も、「読み書き計算」さえできればいい、と割り切ると、希望が見えてきませんか?
「ちょっとやったるか!」と、やる気を出した親御さんは、ぷりんときっずのプリントをダウンロードして、子どもにやらせてみましょう。
中学生になって急にわからなくなった、というケースでも、意外と小学校で学ぶ内容につまずきの原因があったりするものです。
無料のプリントなら、費用や世間体を気にせず、どんどんさかのぼっていけますね。
あ、もし、
「数字が出てくるだけで、めまいが……」
という方がいらっしゃったら、『親野智可等の頭がよくなる「算数力」教室』をどうぞ。
わかりやすくて超オススメです。

「そんな時間とエネルギーなんてないわよ」とおっしゃる方への私のオススメは、DeNA(ディー・エヌ・エー)のアプリゼミです。
アプリゼミ、ダウンロードしましたか?でご紹介しているように、子どもが勝手に、ゲーム感覚で楽しく勉強してくれますから、親はラクチンです。
まだアプリゼミがスタートしていない学年のお子さんであれば、もう少し費用がかかってしまいますが、近所の補習塾や公文式、進研ゼミというイメージです。
いわゆるお勉強は、そんな程度で十分なんです。
もちろん、「当たり」の先生に当たった幸運な方は、何も考えず、先生に言われたとおりにしているだけでOK。

だったら、
「やはり公立はダメだ。私立に行かせなければ」
なんて話にはならないですよね、そう思いませんか。
だって、読み書き計算くらいなら、わざわざ私立に行かなくても、上のような対応でなんとかなるでしょう。
また、集団生活に適応する訓練の場として考えると、私立より公立のほうが適していると言えるかもしれません。
一般的に私立より公立のほうが同質性は低く、その分、訓練の意義が大きいと思われますので。

また、記事の中で増田教授が言うように、「私立なら大丈夫は幻想」です。
私立の小学校、中学校にも、いじめや不登校はありますし、同質性が高い分、問題は深刻化しがちです。
とくにいじめの苛酷さときたら……ときどき女性週刊誌で、芸能人がらみで報道されていますよね、あれです、あれ。
私自身、私立の高校にかよっていたとき、クラス内で、伝統的セレブ子弟が集団で新興セレブ子弟をいじめていて、社会の縮図だなあと、やりきれない気持ちになりました(そこに至った事情がよくわからなかったのと、受験勉強でそもそもあまり学校に行っていなかったので、いじめられている子に意識的に話しかける程度のことしかしていませんが)。

というわけで、地元の公立小中で大丈夫です。
記事の中で増田教授は、
「子どもに相手にしてもらえるのはせいぜい中学1年まで。貴重な時間だから、焦らず子育てを楽しんで」
というメッセージを送っていますが、その通りだと思います。
ヒーヒー言いながら無理して私立に行かせるより、子どもと一緒の時間を楽しみましょう。

どうやって楽しむかは、人それぞれでいいと思います。
ですが、できれば、子どもの将来につながる楽しみ方がいいと思います。
では、子どもの将来につながる楽しみ方とはなんでしょうか?
良き指導者はどこにいる? 「論理的」「ロジカル」が目印だ!で書いたように、私は、クラブ活動やお稽古事、趣味を、いわゆる勉強と同じくらいに重視すべきだと考えていますが、それに限りません。

3年前、子どもの将来という、そのまんまのタイトルのエントリで書いたように、
「みーちゃんが大学生になる頃には、「いい大学に行って、いい会社に入って」の賞味期限が切れているわけです」
じゃあ、どういう人生をめざせばいいのか。
上記エントリで、

「日本国内で生きていくなら、「知・情・意」の情か意にかかわる仕事だろう。
「情」とは、たとえば、介護職、看護師、癒し、娯楽
「意」は意思決定かな。
とすると、これに携わる人は極めて少数だし、世界的視野が必要だ」

と書きました。
今でもその考えは変わっていません。
付け加えるなら(書いたときもそう思っていたけれど、ちょっと文字にするのがこわかった)、「知」だけにかかわる仕事はかなり厳しいですね。
ロボットやコンピュータにどんどん仕事を奪われることでしょう。
エンジニアtypeのテクノロジーの進歩で10年後の働き方はどう変わる?人工知能の専門家が語る「結論」と「持論」というエントリは、
「人間は最終判断を下すことに特化する」
と断言しています。
「意」の部分ですね。

同エントリで、人工知能学会前会長で慶應義塾大学教授の山口高平氏は、こう言います。

「東大の問題は、高校までに習う膨大な定理を組み合わせることで解く、ある意味でシンプルな問題です。対するセンター試験は選択解答式。問題文の日本語部分にさまざまなヒントが隠されており、人間はそれを活用して答えを導き出すのですが、コンピュータには理解できないのです」
「コンピュータは論理式で表現できることは得意ですが、人間の常識や、生物の反応を理解するのは苦手です」
「小学校の教諭は20位と高く、私のような高等教育者の200位よりもかなり上。知識を教えるだけの職業はコンピュータに取って代わられるけれども、分からないと子供が言った時にどうするか、といった生活体験に基づくノウハウを持っている職業は生き残る」

「知」だけではロボットやコンピュータに勝てないのです。

同エントリでは、オックスフォード大学が2013年に発表した「コンピュータの影響を受けやすい未来の仕事」に関する調査レポートに言及し、
「このレポートで、約700の職業の中で最も代替されにくいとされたのはセラピストだ」
とします。
レポートが気になる方は、現代ビジネスのオックスフォード大学が認定 あと10年で「消える職業」「なくなる仕事」702業種を徹底調査してわかったをどうぞ。

さて、セラピストですが、これは「知」とともに「情」にもかかわる仕事ですね。
「コンピュータが苦手としている、

【1】クリエイティビティ
【2】パーソナル・インテリジェンス(相手の気持ちを考える)
【3】手先の器用さ

の3要素が強い職業ほど、代替されにくいと考えられている」
と、同エントリはポイントを整理しています。
セラピストは【2】パーソナル・インテリジェンス(相手の気持ちを考える)の要素が極めて強い職業と言えるでしょう。

上で例示した「介護職、看護師、癒し、娯楽」についても見てみます。
典型的にはオムツ交換のように、直接ボディタッチをして細かい作業をする「介護職、看護師」は、【2】パーソナル・インテリジェンス(相手の気持ちを考える)とともに、【3】手先の器用さが要求される職業ですから、ロボットに代替されにくいでしょう(患者さんを持ち上げたり、見回りをしたり、といった仕事はロボットの仕事になるでしょうが、それらは介護職、看護師の仕事のごく一部です)。

「癒し」に含まれる職業はいろいろありますが、【2】パーソナル・インテリジェンス(相手の気持ちを考える)【3】手先の器用さにかかわることが多いかと思います。
例えば、美容師はかなり有望な職業だと思いますね。
髪は嫌でも伸びます(毎月美容院に行くのが面倒で、「髪が伸びなきゃいいのに」とつぶやいて、美容師さんにイヤな顔をされたことがあります…)。
しかも、ひとによって、髪の量や生え方、似合う髪型は大きく異なりますから、ロボットがカットしたり、ロッド(カーラー)を巻いたり、カラーリングの薬剤を適切な順序でムラなく塗ったり、という時代が来るのはかなり先ではないでしょうか。

あと、子育てサイトで書くのもどうかという内容ですが、あえて書きますと、癒しの中でも性的サービスは、ロボットに代替されるのは一番最後でしょうね。
(宗教的ニュアンスを含んだ)娼婦が世界最古の職業と言われるということは、逆に、最後まで残るのだろう、とも思います。
だから、子どもに、娼婦や男娼になるように勧めましょう、という話ではないのですが、そういう眼で、『恋の手ほどき』や『娼婦ベロニカ』など、姪や娘を高級娼婦として鍛えあげる、という筋書きの映画を観ると、親として感じるものが多いような気がします。
「いい大学に行って、いい会社に入って」じゃない、もっと別のものが必要だ、ということが象徴的にわかると思います。


残る「娯楽」もさまざまですが、ひとことで言えば【1】クリエイティビティにかかわる領域ですね。
つまり、ロボットやコンピュータの苦手とする領域です。

まとめると、いわゆるお勉強はそこそこでいいから、

【1】クリエイティビティ
【2】パーソナル・インテリジェンス(相手の気持ちを考える)
【3】手先の器用さ

を鍛えるようなやり方で、子どもと一緒の時間を楽しみましょう、楽しんでいるうちに、お子さんにとって本当に必要な勉強が何であるか、もはっきりするでしょう、ということです。

【関連エントリ】
(無料公開しました)2013年5月7日配信 なぜ学校へ行くのか・その1
(無料公開しました)2013年5月14日配信 なぜ学校へ行くのか・その2(宿題の話)
(無料公開しました)2013年6月11日配信 なぜ学校へ行くのか・その3
(無料公開エントリ)アプリゼミ、ダウンロードしましたか?
(無料公開エントリ)良き指導者はどこにいる? 「論理的」「ロジカル」が目印だ!
(無料公開エントリ)子どもの将来

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プロフィール

渡辺リエラ
1969年東京生まれ。1988年東京大学文科1類入学。1992年東京大学法学部卒業。出版社勤務、専業主婦を経て、現在、別名義にて大学講師などとして活動中。2007年7月第1子「みーちゃん」誕生。
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