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かけ算の順序についての備忘録というかお願い

インターネットで、たびたび問題になっている件についての、半端なエントリです。
どういう問題か、ご存じない方は、「掛け算順序固定」問題対策本部をどうぞ。
現段階では作成中のコンテンツも多いので、東北大学の黒木玄先生のまとめページ「かけ算の式の順序にこだわってバツを付ける教え方は止めるべきである」がとても詳しいので、こちらで補うといいと思います。

数学者である黒木先生の言葉で、とくになるほどと思ったのは、

「算数の面白さは同じ問題であっても複数の解き方があることです。
だから、常に正しい答が出る方法であればどんな方法を使って解答しても正解になります」

のくだり。
こういう教え方をしてもらっていたら、私も算数好きになれたかもね……はあ。

ところで、数学者と言えば、ピーター・フランクルも有名です。
そこで、彼が出演しているNHKの算数教育番組「マテマティカ」を引っ張り出してみた。
というか、みーちゃんが昨夜も観たせいで、DVDがテーブルの上に出ていたんです。

「マテマティカ」はご存じの方も多いと思いますが、2003年まで5年間放送されたNHKの算数教育番組。
世界的な数学者であり大道芸人でもあるピーター・フランクルが、ジャグリングなどを交えながら、見慣れた物を例に、数学的なものの見方をわかりやすく説明した番組です。
小学校1・2年生対象とのことですが、未就学児でも、クイズ感覚でイケると思います。
みーちゃんには4歳になった頃から観せていますが、好きみたいです。
ときどき、思い出したように観たがりますし、
「ピーターがそう言ってた」
としょっちゅう言うので、どこのピーターのことかと思ったら、ピーター・フランクル先生のことでした(笑)。

思うに、算数は抽象度が高いから、年齢や発達段階を考えずに、子どもが興味を持つままに学ばせていいんじゃないですかね。
つまり、おはなし(国語)だと、
「怖い話は、まだ無理」
みたいなことがあるし、社会科や理科も、事実をどこまで伝えるか、という難しさがあるわけで。
その点、算数が一番安心して進んでいける。
で、進んで行った場合の最大のネックが、このかけ算の式の順序問題なわけです。

さて、かけ算の式の順序について、「ピーター」がどう説明しているか、改めて確認してみた。
シリーズ中の4「かずのくに その2」2「九九のひみつ(かけ算と九九)」では、足し算の発想で九九の表を作って、すぐ、
「対角線上で折ると、同じ数字が重なるね」
という話になる。
つまり、3×4=12と4×3=12の話。

同じく4「かずのくに その2」の3「かずのくにのことば(式による表現)」では、同じ物を絵に描かせたうえで、式にさせてた。
たとえば、
「2つの自転車と1つの自動車のタイヤの数が同じ」
という絵を描いた子なら、2+2=4。
12のロボットを2体ずつ並べて、
2+2+2+2+2+2=12
とやったり、3体ずつ並べて、
3+3+3+3=12
とやったり、さらには、
2+4+4+2=12
も。
しかも、基本的な思想は、
「言葉だとわからなくても、数字なら世界中の人とわかりあえるね」
というもの。
かけ算の式の順序への言及はなかったし、それにつながるような発想は見いだせませんでした。

子ども向け算数教材と言えば、「マテマティカ」の一人勝ちだろうと思っていたのですが、最近ライバルが出現しました。

「さんすうだいすき」です。
算数教育の大家である遠山啓先生による、「水道方式」にもとづく学習教材。
3歳くらいの幼児から小学校低学年向けで、「算数の基礎を楽しんでまなべます!」というキャッチフレーズ。
これ、40年ぶりの復刊なんですよね。
これまでは古本でしか手に入らなくて、しかも、高値がついていました。

興味津々なのですが、まだ購入をためらっています。
というのも、上記「かけ算の式の順序にこだわってバツを付ける教え方は止めるべきである」で、遠山先生の考え方には批判されなければならない部分がある、とされているように、今のスタンダードに照らすと、若干古い部分があるだろうと思うのです。
ある程度数学的な素養があるママやパパだったら、その古い部分がどこか、どう子どもに説明しなおせばいいか、わかると思うんですが、ちゃんと数学と取り組んでこなかった私には自信がない……。

どうですか、どなたか購入して、「さんすうだいすき」の2012年的読み方を教えてくださいませんか?

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Comment

  1. t.m says:

    はじめまして。私は個人的趣味から「かけ算の順序」の情報収集をしている者です。

    「さんすうだいすき」は、私も関心がありますが、さすがに手が出ません。

    遠山先生の考え方への批判のうち、かけ算の式の順序に関するものはというと、「内包量(1あたり量、かけられる数)」と「外延量(いくつ分、いくら分、かける数)」という2つに分けることが、果たして適切なのかということだと思います。昨年出た『かけ算には順序があるのか』では、目を引く方法で、1あたり量といくら分を反対にできることを示しています。

    記事のはじめのほうの「複数の解き方」についてですが、現在の学校教育でも配慮されています。
    ○○○○
    ○○○○
    ○○○○
    と並べたときの○の数を求める式(授業での児童らの反応)として、「3×4だけ」と「4×3だけ」と「3×4と4×3の2つ」と「3×4、4×3、2×6、6×2、…」の4パターンがあります。順序はどうでもいいという人々は「3×4と4×3の2つ」を支持しているようで、一方、算数を専門とする小学校の先生は、学んでもらいたいことに応じて授業でこの4つを使い分けています。なぜ使い分けているか、なぜこれが「2×6」になるのかは、かけ算の順序と深い関係があります。

    お子さまが健やかに成長されますように。

  2. 渡辺リエラ says:

    t.m さん
    こちらこそ、はじめまして。
    コメントありがとうございます。

    ブログを拝見しました。2011年12月19日のエントリで“学説”を整理しておられるところが、とても参考になりました。いろいろあるんですね~面白いです。

    コメント中の「目を引く方法で」は、トランプ配りでもなく、交換法則でもなく、ということですよね。どんな方法だろう? 興味あります。みーちゃんが小学校に上がってかけ算を学ぶようになったら、読んでみようかな~

    「なぜ使い分けているか、なぜこれが「2×6」になるのか」も未知の世界です。奥深いですね!

    みーちゃんと一緒に、少しずつ勉強していきたいと思います。また、いろいろ教えてください!

  3. 木梨サイクル says:

    >たとえば、
    「2つの自転車と1つの自動車のタイヤの数が同じ」
    という絵を描いた子なら、2+2=4。
    12のロボットを2体ずつ並べて、
    2+2+2+2+2+2=12
    とやったり、3体ずつ並べて、
    3+3+3+3=12
    とやったり、さらには、
    2+4+4+2=12
    も。
    しかも、基本的な思想は、
    「言葉だとわからなくても、数字なら世界中の人とわかりあえるね」
    というもの。
    かけ算の式の順序への言及はなかったし、それにつながるような発想は見いだせませんでした。

    あのね。ここに書いたようなこと人に伝えたいでしょ?そのときに
     2+2+2+2+2+2=2×6

     2+2+2+2+2+2=6×2
    とはしないよ〜って決めとくと話しが通じるわけ。これをムダにドッチでも同じだよ〜ってすると話しが通じなくてメンドクサイことになっちゃうじゃない。よく見てご覧なさい。レシートだって1枚のレシートに
     500円×3
     6×200円
     合計2,700円
    なんて書いてないでしょ?数学者かなんだかしらないけど黒木さんの言ってることはなんかおかしいよ!鵜のみにしないほーがいい。

  4. 渡辺リエラ says:

    木梨サイクルさん
    コメントありがとうございます。
    旅行に行ったりしていまして、お礼が遅くなってすみません。

    ルールを決めておくと話が早い、というのは、まったくご指摘の通りだと思います。
    算数や数学は得意なほうではないので、いろんな方のいろんなお考えを聞きながら、少しずつ勉強していきたいです。

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プロフィール

渡辺リエラ
1969年東京生まれ。1988年東京大学文科1類入学。1992年東京大学法学部卒業。出版社勤務、専業主婦を経て、現在、別名義にて大学講師などとして活動中。2007年7月第1子「みーちゃん」誕生。
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