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続・親子で考えるパラリンピック(家庭で行う探究型の学び)

親子で考えるパラリンピック(家庭で行う探究型の学び)の最後に、
「この「お知らせ」を起点として、これからの4年間、パラリンピックやオリンピック、さらには人間と科学技術について、親子で考えていく予定です」
と書きましたが、早速その機会が訪れました。

NPO法人 幼児教育従事者研究開発機構が主催し、株式会社 侍が共催、三菱商事が特別協賛している「DREAM AS ONE.×父子チャレンジアカデミーSPECIAL FES.」です。
学校で配布されたチラシで知り、申し込みました。
実施からだいぶ日にちが経って、記憶が薄れてきてしまったので、私の感じたこと考えたことメインになってしまいますが、レポートしたいと思います。

客観的なレポートとしては、公式サイトの活動報告や取材記事、例えば、FACTA ONLINEの夢の島競技場に8人のトップアスリートが集合。障がいのあるなしにかかわらずスポーツに親しむスペシャルフェスを開催!などをご覧くださいませ。

さて、こちらのイベントに参加しようと思った第一の目的、それは義足の体験でした。
みーちゃん制作の「お知らせ」にも書いたように、2012年のロンドンパラリンピック陸上走り幅跳びで金メダルを獲得したマルクス・レーム選手は、2016年のリオパラリンピックでも、8m21の大会新記録で金メダルを獲得しました。
リオオリンピックの金メダル記録は8m38。
17cmしか差がありません。
レーム選手は「夢はオリンピックに出ること」と言っています。
しかし、義足を付けていることを理由として、リオオリンピックへの出場は認められなかったようです。
義足を付けているのは不公平、ということでしょうか?
でも、記録を伸ばすために、シューズは日進月歩で改良されているわけですよね?
最新のシューズを履いていることは不公平ではないのでしょうか?
シューズと義足は、どう違うのでしょうか?
いったい、義足ってどんなものなんだろう――そういう趣旨で、体験しようと思ったのでした。

ところが、リオパラリンピック男子陸上400mリレー銅メダリストの佐藤圭太さんに励ましてもらいながら体験したものの、実際に履いてみると、かなり難しかったようです。
両脚の長さが同じだから義足を付けるとバランスを取りにくい、ということはあると思いますが、もっと根本的にバランスを取ることが難しい、ということのようです。
これで跳ぶとか、走るとか、すごいなあ、と思いました。
こちらの画像では、元陸上選手で大会アンバサダーを務める為末 大さんが、なんと両足に義足をつけて走っていますが、これは為末さんだからできることです!
パラ義足02

実際、パラリンピック5大会連続出場、陸上男子走り高跳び4位入賞の鈴木 徹さんは、
「競技用の義足は扱いが難しい」
と話していました。
画像のように、手を放して落下させたときに、どのくらい弾むか、あるいはバランスを崩して倒れるか、といった予測が難しいようです。
パラ義足01

義足のバランスを保てるポイントに適切な力が適切な方向に加わるようにして、義足の性能を最大限に引き出すのは、たぶん相当難しいのだろうと感じました。
前掲「親子で考えるパラリンピック(家庭で行う探究型の学び)」では、

「1つは、パラリンピックの意味が変わりつつあることへの理解です。
レーム選手やほかの選手がオリンピックへの出場を希望したとき、認めるべきでしょうか?
仮に認めなかった場合、東京パラリンピックで、レーム選手らがオリンピックの金メダル記録を上回る記録を出す可能性は、十分にあります。
そうなると、どこまで記録が伸びるのか、という興味から、俄然、パラリンピックを観るのが面白くなってきますし、なぜ義足をつけた選手はオリンピックに出られないのか、オリンピックとはそもそも何か、という本質までさかのぼって議論せざるをえなくなるでしょう。」

と、さも簡単に義足の選手がオリンピックの記録を上回ることができるかのような書き方をしてしまいましたが、それは、決して簡単な話ではないのです。
義足には弾力性がありますので、その点ではたしかに競技に有利ですが、動きを制御するのは人間の技術です。
その技術を味わうのがパラリンピック観戦の醍醐味、ということなのかもしれません。

「Yahoo!ニュース 個人」亀松太郎さんのアンドロイド研究の石黒教授「パラリンピックのほうが人間らしい」によると、石黒先生が、

「人間というのは、もともとの定義において『技術を使う動物』『技術を使うサル』だと言われているんです。技術と切り離したら、我々は猿になってしまう。だから、オリンピックは不自然だと思うし、何年か先かわからないですけど、少なくとも50年も経ったら、(オリンピックとパラリンピックの地位が)逆転していると思います」

と言っていたそうですが、そことつながりそうです。

結果的にみーちゃんが最も楽しんだのは、ウィルチェアーラグビーの体験でした。
日本代表でリオパラリンピック銅メダリストの池崎大輔さん、今井友明さんから直接指導を受けられるわけですからね!
パララグビー

年齢にしては度胸はあるほうだと思いますが、タックルがとても怖かったそうです。
お二人のデモンストレーションは、たしかに、吹っ飛ばされそうなくらいの、ものすごい迫力でした。
もちろん、子どもに対しては、体格を見ながら計算して仕掛けてくださっているわけですが、デモのイメージが残っていますから、本人はとてもドキドキしたと思います。
私は、ウィルチェアーは壊れないだろうか、直すのにいくらくらいかかるんだろうか、と、そっち方面でドキドキしていました(夢がなくてすみません…)。

これからの世界では、余暇を上手に楽しめる人が勝ち組

これまで、当サイト右側に表示される「私のオススメ」の1番を、『声に出して読みたい日本語』で有名な齋藤孝さんの著書『子どもの集中力を育てる』(文藝春秋)にしていました。
この本をオススメの中でも最も目立つところにもってきたのは、もちろん、古巣から刊行された本だからではありません。
広い意味での身体表現(演劇、舞踊、歌唱、演奏)を学ばせる意味で書いたように、私は、集中力が大事だと思っていて、そして、集中力を鍛えるためには、呼吸や姿勢が大切だからです。

その思いは多くのママ、パパに通じたようで、当サイト経由でこの本を多数買っていただきました。
賛同してもらえたような気がして、とても嬉しかったです。
(アマゾンだと、当サイト経由でどんな物が買われたかがわかるのです。もちろん、どなたが買ったかはわかりません。)

さて、集中力、そして呼吸や姿勢が重要であるという思いは、今でも変わりません。
変わりませんが、もっと読んでいただきたいと感じる本が出てきてしまいました。
その本は、メディアアーティスト、筑波大学助教・落合陽一さんの著書『これからの世界をつくる仲間たちへ』(小学館)。
そこで、差し替えを決断しました!

この本をオススメする理由は、なんと言っても、タイトルにもある「これからの世界」が、クリア過ぎるほどクリアに示されていることです。
それは、「ホワイトカラーが絶滅する世界」(213ページ)であり、「モチベーションを持ってコンピュータをツールとして使う『魔法をかける人』」(40ページ)と「魔法をかけられる人」(同)に二分された世界です。
10年後はわかりませんが、20年後、30年後はこんな感じになっているんでしょうね。

(あ、もし、このいきなりの展開に面食らっている方がいたら、当サイトの

子どもの将来
これからは「高度な事務処理能力」が必要
地元の公立小中で大丈夫
近代の終わり――人間の理性が統計的事実によってその確からしさを検証される時代が来た
ゴリラは人間のライバルになりうるか――国立大学人文社会系の問題について
中学受験は親の受験です

辺りを読んで、キャッチアップしてくださいませ。)

「魔法をかけられる人」は、たとえば工事現場で働きます。
「工事現場の仕事は、少なくとも人間より正確に動くロボットが開発され、ローコストで実用化されるようになるまではなくならないでしょう。しかも……賃金はむしろ上がると思います」(54ページ)。
「現場の人たちはみんなヘッドマウントディスプレイのようなものを装着して、そこに表示されるコンピュータが最適化した工程通りに工事を進めれば、きわめて効率よく正確な作業が可能になるでしょう」(同)
彼らは「コンピュータの下請け」(55ページ)であり、「高度なロボット」(64ページ)なのです。

そうした、人間にコンピュータの代わりをさせようとする分野は「ヒューマン・コンピュテーション」と呼ばれ、今さかんに研究されています。
落合さんは、米国のアマゾンが行っている「メカニカル・ターク(機械仕掛けのトルコ人)」というサービスにも言及しています(同)。
これは、「コンピュータだけでは不可能な仕事を人間に処理させるクラウドソーシングサービス」(56ページ)です。
「たとえば膨大な画像の中から公開できないレベルの猥褻なものを識別して削除するといった作業」(同)を、人間が安い賃金でするわけです。
「この類の仕事をどうエンターテインメントにしていくかが今後の課題となってい」く(57ページ)というくだりは、メディアアーティストである落合さんだから言える説得力を感じました。

本書では、それ以外にも、人間が「人工知能のインターフェイス」(58ページ)として働く場面がいろいろ紹介されています。

そのような「魔法をかけられる人」たちについて、落合さんは、ダンボール製のヘッドマウントディスプレイを頭につけて「コンピュータの作るバーチャルな代替物で人々が幸福感を得て満足するような面は多少なりとも出てくるでしょう」(133ページ)と言います。
そうした「誰かが作った「魔法」の世界を見て」(39ページ)過ごす生き方について、「魔法をかける人」たちの先頭を走っている落合さん――IPA(独立行政法人情報処理推進機構)認定スーパークリエータ(2009年度上期)であり、2015年には、米the WTNが世界最先端の研究者を選ぶ「ワールド・テクノロジー・アワード」(ITハードウェア部門)において、日本からただひとり、最も優秀な研究者として選ばれています――が「悪いとは思いません」(132ページ)と断言し、「コンピュータに「使われることによる幸せ」という概念も存在しうる」(同)と指摘する辺りは、本書の主眼ではないけれども、凄味を感じました。

そうなんです、もちろん本書は「モチベーションを持ってコンピュータをツールとして使う『魔法をかける人』」に語りかける本でして、その内容は当サイトを何倍にもパワーアップしたような内容なので、ぜひご自分で確認していただきたいのですが、私が衝撃を受けたのは、実は「魔法をかけられる」側の描写でした。
たしかに、「魔法をかけられる」人生も、「悪くない」と思います。
だって、楽しくお仕事できるように、そして、お金をかけずに余暇を楽しく過ごせるように、落合さんのような少数精鋭の「魔法使い」たちが知恵を絞ってくれるのです。
悪いわけがありません……というより、かなりいいと思いませんか?

そんなバラ色の未来が待っているのに、なぜ、間違った方向の努力(何がどうしてこれにあたるかについても、本書はくわしく述べています)を強いて、子どもたちを疲れさせる必要があるのでしょうか。
それより、余暇を上手に楽しめる人になっておいたほうがいいと思いませんか、と私は問いかけたいのです。

最後に、落合陽一さんに関するご参考ページを紹介しておきます。
Newspicks 【落合陽一】なぜ、僕は21世紀を「魔法の世紀」と呼ぶのか
ギズモード・ジャパン 潜入、筑波大学デジタルネイチャー研究室! 現代の魔法使い落合陽一さんの授業ってどんなもの?
COZRE(コズレ) 「いま子どもたちに本当に必要な教育」とは

新しい「私のオススメ・その1」を、どうぞよろしくお願いいたします!

プロフィール

渡辺リエラ
1969年東京生まれ。1988年東京大学文科1類入学。1992年東京大学法学部卒業。出版社勤務、専業主婦を経て、現在、別名義にて大学講師などとして活動中。2007年7月第1子「みーちゃん」誕生。
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