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勉強よりも、英語よりも、プログラミングよりも大切なこと

半年以上前の毎日新聞の特集ワイド:ここまで来た!!お子様の習い事 コンピュータープログラミング、0歳からの英語・脳トレ…(2014年04月24日 東京夕刊)という記事がありまして、小学生にコンピュータープログラミングを教える「テックキッズスクール」(CA Tech Kids主催)の取材をしていたりで、なかなか面白かったんです。
その中で、ベネッセ教育総合研究所の「学校外教育活動に関する調査2013」が引用されていまして、時間短縮のため孫引きさせていただきますと、

「運動やスポーツをするよりも、もっと勉強をしてほしい」
幼児(3歳から就学前まで)の親 2009年14.4%→13年23.8%
小学生の親 2009年24.3%→13年32.0%

「音楽や芸術の活動をするよりも、もっと勉強をしてほしい」
幼児の親 2009年22.7%→13年32.5%
小学生の親 2009年31.5%→13年39.4%

となっています。
小さい子に勉強させたい親が増えているわけです。

私は小さい子に勉強をさせること、早期教育を施すこと、幼児教室や塾にかよわせることをオススメしません(その理由はメルマガ購読者の方にはお伝えしています)が、だからと言って、全否定するつもりはありません。

ただ、1つ意識したほうがいいんじゃないか、と思っていることがあります。
それは、勉強をさせる目的です。
地元の公立小中で大丈夫で書いたように、「意にかかわる仕事」を目指す極めて少数の子どもを除けば、「読み書き計算」程度がきちんとできればいいわけです。
とすると、「今、高校3年生で受験勉強中」ならともかく(それでもどうかと思いますが)、今、乳幼児や小学校低学年の子が「いい大学に行って、いい会社に入って」という目的でガリガリと詰め込み型の勉強をするのは、ナンセンスだと思います。
将来、ロボットやコンピュータに仕事を奪われるために勉強しているようなものですからね。

じゃあ、何のために勉強させるのか。
結論から言うと、ちょっと唐突みたいですが、「羞恥心」の壁の内側に閉じこもらないために勉強させるのだったら、いいと思います。
小学校の英語教育をやるべきか、どうやるべきかで書いたように、最も日本人に欠けていること、これからの日本人がやらなくてはいけないことは「羞恥心の克服」だと考えています。
なぜなら、「羞恥心の克服」は英語教育にのみ必要なことではなく、もっと広い意味でのコミュニケーション、プレゼンテーションの問題だから。
「羞恥心」の壁の内側に閉じこもっていては、背景の異なる人々と互いに理解し合うことはできません。
背景の異なる人々と意思の疎通を図るための共通ルール(=論理)を使って何かを表現して、的確に伝えることもできないでしょう。

「いわゆる学校英語はできるのに、外国人の前ではしどろもどろになってしまう」のは、結局のところ、羞恥心が克服できていないからです。
他人の言動を見て、「なぜこんなことをするのか、さっぱりわからない」なら理由を尋ねればいいのに、羞恥心から、それをしない。
わからないまま放置しているから、「言いたいことがあるのに、なかなかうまく伝わらない」し、そもそも羞恥心から、うまく伝えることもできない。
突き詰めれば、「羞恥心」の壁がすべての邪魔をしているわけです。

まず「壁」を破らないことには、何もはじまらないのです。
そして、羞恥心の壁を後から取り除くのは、経験上、極めて困難です。
とすれば、自意識が発達し、羞恥心が生まれてくる前の段階、つまり、無垢で素直で単純な、小学校低学年くらいまでに、羞恥心に振り回されない人になっておくしかない、と思います。
だから、小さい子に勉強させる場合には、その勉強が、「羞恥心」の壁の内側に閉じこもらない人になるために役立っているといえるかどうか、それを意識するべきだと考えます。
具体的なポイントとしては、

楽しそうかどうか
発散できているかどうか
発信(出力、アウトプット)できているかどうか

という感じかな。
ホントは「発散できているかどうか」だけでいいと思うんですが、それだけだと、ひとによって解釈が違いすぎるかもしれないと思って、他の2つのポイントも足しました。

答えがYESなら、早期教育や幼児教室、塾を続けるのがよいでしょう。
英語やプログラミング、「運動やスポーツ」、「音楽や芸術の活動」についても同じです。
羞恥心に振り回されないことにつながっているなら、続けるべきでしょう。

つまり、タイトルとした「勉強よりも、英語よりも、プログラミングよりも大切なこと」、それは「羞恥心の克服」です。
その点をスルーして、ただ、小さい子に勉強させるべきか、英語やプログラミングを学ばせるべきか、を議論することは、とても表面的で、時間の無駄だとすら思います。

もし、「今から何かはじめるから、一番「羞恥心」の壁の内側に閉じこもらない人になれそうな習い事を教えて」とおっしゃる方がいたら、私は、表現をさせること、を勧めたいです。
もっと具体的な回答をお望みであれば、言葉に依存しないで身体で表現するダンスやバレエ
特に、自由な表現をよしとするモダンや児童舞踊、リトミックがいいと思います。

クラシックは型を重視するので、「羞恥心の壁」対策という意味では、あまり効果は期待できないと思います(逆に、小学校中学年くらいからはモダンよりクラシックのほうがいいと考えていますが)。

ブレイクダンス系も、自由は自由ですが、動きが激しいので、首など身体に負荷がかかりそう。
身体にどんな影響が残るのかは、ある程度年月が経たないとわからないので、歴史の浅いダンスを小さい子どもにやらせることには消極的です。

ピアノなどの楽器演奏も、非言語的表現ではありますが、プレゼントのおすすめ スピーカーで書いたように、あまり小さいうちからやらせないほうがいいようですし、全身を使って表現することに比べると、「羞恥心の壁」対策として物足りない気がしています(別の理由から、小学生の頃に楽器をやっておくといいよなあ、とは思っていますが)。

演劇、お芝居も、表現には違いありませんが、言語への依存度が高いので、小さい子の「羞恥心の壁」対策としてどなたにもお勧めできるものとはいえません。

というわけで、小学校低学年くらいまではモダンや児童舞踊やリトミックがオススメです(ただし、お教室選びは慎重に)。

リトミックってなに、と思った方には、タイトルそのまんまの、こちらの本がオススメです。
私は読んでて付箋だらけになりました。

【追記】2015.1.6
児童舞踊については専門書になってしまいますが、こちらの本がオススメです。

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プロフィール

渡辺リエラ
1969年東京生まれ。1988年東京大学文科1類入学。1992年東京大学法学部卒業。出版社勤務、専業主婦を経て、現在、別名義にて大学講師などとして活動中。2007年7月第1子「みーちゃん」誕生。
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