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子どもの将来・その3

「子どもの将来」のコメント欄でけっこう重要な話をしていたのですが、気付いていない方が多いと思うので(サイトの設計段階でこういう展開を予想していなくて、「最近のコメント」欄を付けなかったもので……すみません!)、改めて整理しようと思います。

「子どもの将来」で、

介護職、看護師、癒し、娯楽といった「情」にかかわる職域以外を選ぶなら、どこでも暮らせる適応力と語学力が必須。
それとともに、自分の適性なり能力なりを見極めて、それを伸ばしていく努力をする。
とすると、必要なのは、精神的、肉体的なタフさ、自分を客観視できる知性、集中力など。

と書いたところ、genyさんから同意のコメントをいただきました。
genyさん曰く、

まずは、子供たちには「物事の本質」を認識する能力、認識しようという意欲を身に付けてほしい、それによってサバイバル能力が向上するはず。

それに対して、かあさまは、

「物事の本質」を認識できるようになるためには、小さい頃から、目に見えないもの、抽象的なものの認識能力を上げておくといいのかな。
神社にお参りしたら、「この中には神様がいるんだよ」とか、お墓参りしたら、「ここにはあなたのご先祖様が眠っているんだよ」とか。

と返しました。
するとgenyさん、同意したうえで、

ただ、「抽象的なもの」を認識するには、まず「目の前の現実」を正しく認識することが必要だと考えます。
そして、現実を正しく認識するには、「目の前の現実」に対して「本当か?」と自問自答を繰り返し、検証を続ける習慣が必要なのではないでしょうか。

と、大人にもなかなか難しい、ハイレベルの要求をされました。

ここで、かあさまが考えたのは、そうした「検証」は何歳くらいになったらできるのだろうか、ということ。
現在4歳のみーちゃん、「目の前の現実」を合理的に説明しようと、あれこれ理屈をひねり出してきて面白いのですが、まだ「目の前の現実」に対して「本当か?」と自問自答している様子はありません。

例えば「なぜパパは帰りが遅いのか」と問いを設定し、沈思黙考の末、出てきた答えは
「お仕事の場所がわからなかったんだ」。
訪問先の場所がわからず、迷ってしまって時間がかかった、という理解ですね。
「本当に仕事で遅いのだろうか。どこぞで呑んだくれているのではないか」
とか、
「パパの会社は実はブラック企業で、無茶苦茶サービス残業させられているのではないか」
とはならないのです。

当たり前か。
気を取り直して、続けます。

神社や教会で、「神様って、どこにいるの? 本当にいるの?」と考えたり。
クリスマスの朝、ひとしきり喜んだ後で、「これ、本当にサンタさんが持って来てくれたのかな? サンタさんって本当にいるのかな?」と悩んだり。
そうした段階に入るのは、小学生になってからかなあ?

で、世の中の諸問題に気付いたり、ニュースを見て「これ、本当かな?」と疑問を抱いたりするのは、小学校高学年くらいからでしょうか?

他方で、genyさんもおっしゃるとおり、

「身も蓋もない現実」を「いつ」「どのように」子供に伝えるか。

という問題もあるわけで。
あんまりウブなまま成人されても心配ですが、そうかと言って「社会の腐敗構造に詳しく、自分の将来について達観している子ども」というのも、嫌だなあ……(子どもが自発的に勝手に調べてそうなるなら、仕方ないけど)。

あと、今日的な問題として、建前というか美しい世界を、まずは子どもに教えておく必要もあると感じます。

以下は、爆笑問題の太田光の発言を水道橋博士が引用しているのを「太田光が青臭い正論を吐く理由-てれびのスキマ」が引用しているのを引用したものです、長いな、ハアハア。

太田は、漫才ブーム以前は青春ドラマに感動していた、と語り、しかしビートたけしが出現し、それは綺麗事だとつっこんだ。そして彼は「世の中は綺麗事じゃなくて、熱血の青春ドラマの世界じゃないんだ、っていうことを教えてくれて僕らは開眼した」という。しかし、今の子供はその綺麗事を知らずに最初から本音しか知らない。だから危険なんだという。
「そこからもっと追求していけばいいのに、知恵の入り口って凄く危険なんですよ。たけしさんがやったことは逆説なんだってことを気がつかないと、それをそのまま受け入れちゃうと、それで良いんだと思っちゃうじゃない?」と。

世の中の様々な事実を子どもに「いつ」「どのように」伝えていくか。
これは相当難しい問題です。

と考えていくと、親としては、別の方向で、子どもの「検証」能力を高める道を探りたくなるわけです。
これは逃げですが、安全策でもあります。
つまり、子どもが何らかの理由で、望ましくない順序で世の中の真実に触れてしまった場合にも、子どもが自力で、頭の中で事実を整理できるように、あらかじめ別の方法で「検証」能力を高めておくのです。

そこで思いついたのが、近代西洋哲学でした。

デカルトの言葉として有名な「我思う、ゆえに我在り」も、「真実ってなんだろう?」と自問自答していくうち、「疑っている自分がいる、それだけは、疑いようのないたしかな真実だな」って気付いたわけでしょう?
近代西洋哲学って、神様の存在を証明しようと頑張っていたら、頑張りすぎてついに神様の首を切っちゃった「頑張り屋さん」の世界なわけで、ということは、自問自答や検証のノウハウの宝庫ではないかと思うわけです。

「哲学と聞くと、拒否反応を起こしちゃうわ」
というママも、鏡を見て「ここに映っているのは本当に私だろうか」と考えたこと、ありません?
かあさまの場合は、小学校高学年くらいだったかなあ、そんなことばっかり考えていましたね。
「私の顔は本当にこういう顔なんだろうか。確かめたくても不可能なのか」とか考えたら、猛烈に怖くなったりして。

もっと小さい子どもにも、
「私って誰?」
「神様っているの?」
「サンタさんは本当にいるの?」
みたいな「検証」なら、少しずつ始められるかなあ、と思います。

そう言えば、『ソフィーの世界』という本が昔、流行りましたっけ。

あるいは「サンタクロース」辺りから始めてはいかがでしょうか?

サンタさんに関しては、以前別のブログでまとめたことがあります。
なぜサンタクロースはクリスマス・イブにやってくる?《その1》
なぜサンタクロースはクリスマス・イブにやってくる?《その2》

この本も定評がありますね。

【追記】2013.12.7
上で紹介している別ブログのエントリ
なぜサンタクロースはクリスマス・イブにやってくる?《その1》
なぜサンタクロースはクリスマス・イブにやってくる?《その2》
では自信がなくて結論が出せなかったのですが、今回はなんとか結論らしきところまでたどり着きました!
「まとめ」というものをやってみたかったのと、引用が多いという理由から、このブログではなく外部のサービスNAVERまとめに書きました。
なぜサンタクロースはクリスマスにやってくる?
ご高覧いただけましたら幸いです。

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Comment

  1. geny says:

    「「目の前の現実」を合理的に説明しようと、あれこれ理屈をひねり出して」、この姿勢が大事なのだと思います。私も一緒に考えてあげたいです。

    合理的に説明できなかったら、尋ねてくるかもしれません。その時は、私はきちんと説明してあげたいですね。「なんで」「なんで」と追及されるかもしれません。それにも答えていくでしょう。子供が納得するまで。

    「サービス残業うんぬん・・・」まで行き着いたら、それも話してしまうと思います。年齢相応に納得できるレベルがあるでしょうから、小さな子供は「ドロドロな」話までたどり着かないと、あまり心配はしていません。

    年齢が上がるにつれて「ドロドロ」を知ってしまうかもしれません。それは、むしろ「ドロドロ」に対する親の見識・処し方が試されている場面だと考えます。

    「合理的に説明しようとするのをサポートする」「尋ねられたら、きちんと説明する」というのが、今の私の「答え」です。

    その過程で、確かに近代西洋哲学は有効だと思いますね。

    岩波文庫を引っぱり出して、親も勉強です。

  2. 渡辺リエラ says:

    genyさん
    コメントありがとうございます。
    「私も一緒に考えてあげたいです」。なんて素敵なママ(パパ)なんでしょう! お子さんは幸せ者ですね。
    ご指摘に100%賛成です。私もそういう親でありたいと思います。ああ、そのためには、勉強せねば!

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プロフィール

渡辺リエラ
1969年東京生まれ。1988年東京大学文科1類入学。1992年東京大学法学部卒業。出版社勤務、専業主婦を経て、現在、別名義にて大学講師などとして活動中。2007年7月第1子「みーちゃん」誕生。
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