東大法卒41歳ママ日記 - 幼児教室や塾に通わなくても、お金をかけなくても、子どものためにやってあげられることは、きっとあるはず。 東京大学法学部を卒業して19年、その間に見たこと聞いたこと考えたことを総動員して取り組む、初めての育児の記録です。

東大の推薦入試はローザンヌ国際バレエコンクールだで、東京大学サイト平成２８年度推薦入試について（予告）の「【別紙】平成２８年度推薦入試について（予告）」を引用しながら、
「54年ぶり2度目の全国大会出場を決めた埼玉県立浦和高校ラグビー部の主将あたりは、センター試験さえなんとかクリアして（【別紙】によると「概ね８割以上の得点であることを目安」とするらしい）、部活動において「どのような問題設定と解決を行ったか、その活動を通じていかなる自律的学習を行ったか、また将来的にどのように社会に貢献したいと考えているか」をきちんと詰めて考えておけば、駒場に行けるんじゃないでしょうか」
と書きました。
その具体例を見つけたので、ご紹介します。
朝日新聞デジタルの（教育２０１４　学歴は変わるか：３）エール大、渋谷スタバで面接（2014年4月1日05時00分）です。

ある受験生が受けた、米国の名門エール大のアドミッション・プロセス（入学者選抜）の一環としての面接の中で、「話題は中、高と打ち込んだテニスにも及び」、その受験生が「厳しい上下関係や理不尽なクラブのルールを変えたことを話すと」、面接官であるエール大の卒業生は「それはいい」と言ったそうです。
結果は、もちろん合格。
面接官は朝日新聞の取材に対して、「ポイントの一つは、主体的に行動する人物かどうか。「高校の嫌いな面は」と聞き、「それを変えるために何をしたか」と続ける」と語っています。
受験生が語った「厳しい上下関係や理不尽なクラブのルールを変えた」が、
東大の推薦入試はローザンヌ国際バレエコンクールだの「どのような問題設定と解決を行ったか」の具体例、ということになります。

また、面接官は「リーダーとなる人物を出したい」とも語っています。
これは、「将来的にどのように社会に貢献したいと考えているか」の部分に相当します。

今の「リーダーとなる人物を出したい」ともつながりますが、面接官は、面接時に、受験生に対して、
「学力を試すのではなく、あなたがどういう人か知りたいんだ」
と言い、それと対応する形で、朝日新聞の取材に対して、
「報告は人物像が伝わるよう詳細に書く」
と語っています。

ちょっとここは読み方が難しい部分です。
「あなたがどういう人か知りたい」と言っても、面接官は、少なくとも「あなたがいい人かどうか」を知りたがっているわけではありません。
「そんなこと、わかってる。でも結局、日本の大学のAO入試や就職試験とおんなじでしょ」
と早合点する人もいるかもしれませんが、それも違います。
面接官は、「あなたが楽しい人かどうか」を知りたがっているわけではありません。
日本の大学のAO入試や就職試験においては、残念ながら、「面接は、しゃべりの面白さや一発芸を披露する場である」と理解している人もいるようです。
しかし、エール大学はじめ米国の名門大学では、面接と言えば「アカデミックな対話をする場」です。
これは、日本の教育制度は、格差社会の上のほうにいる人に有利なように作り変えられつつあるでも触れました。
その「アカデミックな対話」にあたる部分が、

「好きな本を尋ねられ、オルダス・ハックスリーのＳＦ小説「すばらしい新世界」をあげると、教授も読んでいて、「あなたの幸せの定義って何だろう」と問われた」

です。
「すばらしい新世界」を知らない方は、ウィキペディアのすばらしい新世界のページをご覧ください。
小飼 弾氏のブログ「404 Blog Not Found」の事実は小説よりbraveなり – 書評 – すばらしい新世界をあわせ読むと、教授（面接官）の問い「あなたの幸せの定義って何だろう」のニュアンスが、よりわかりやすいと思いますよ。

そういう「アカデミックな対話」をして、
「愉快な子だなあ」
「面白い子だなあ」
「キラキラと光っている子だなあ」
と感じる受験生を、面接官は求めていたんじゃないかと、私は思います。