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お箏でプログラミング教育

以前、自由研究ネタ放出で、「科学工作キット」というサイトの手作りモノコードが、楽器の音、というコンセプトにぴったりだけど、お箏と構造が似ている、だったら、もう少し学年が上がってから、うちにあるお箏を使って自由研究すればいいんじゃないかな、と書きました。
でも、よく考えてみたら、そもそも、お箏(よく「お琴」と書かれますが、正しくは「お箏」です)をはじめとする和楽器については、「よくわからない…」という方が多いんじゃないでしょうか。
そこで、今回は、なぜ「お箏で自由研究」という話になるのか、お箏のどこがどうすごいのか、を考えていきたいと思います。
私も和楽器勉強中の身ですので、いっぱいいっぱいのテーマなんですが……頑張ります!

話は戻りまして、モノコードから。
『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)によると、モノコードとは、「1本の弦を張り、その振動を利用する楽器、器具」。
世界各地に見られる素朴な楽器です。
このモノコードを使って、ピタゴラスがある発見をしました。
ピタゴラスは、紀元前6世紀頃、古代ギリシアの数学者・哲学者。
「三平方の定理」で有名な、あのピタゴラスです。
彼がどんな発見をしたかというと、モノコードの駒(こま)を動かして弦の長さを変えると、音の高さが変わる、具体的には、弦の長さを半分にすると1オクターブ高い音になることや、弦の長さを2/3にすると5度音が高くなること(ド→ソ)を発見したわけなんですね。
この話は、『算数おもしろ大事典』か『親子で学ぶ数学図鑑』かで、『算数おもしろ大事典』第3章の「音楽と算数」(248ページ)の、「音階には算数がいっぱいつまっている」例として挙げられていますよ~と紹介したことがあります。

音楽には、算数だけでなくて、実は理科もつまっていまして、例えば、音が聞こえる仕組み。
モノコードを弾くと、弦が振動し、その振動が空気の振動となり、私たちの耳に音として伝わります。
音の高さは振動数で決まり、振動数が大きいほど、つまり、弦がたくさん震えていればいるほど、音は高くなります。
(1秒間の振動数は、周波数と呼ばれます。)
そして、弦が短ければ短いほど、振動数は大きくなります
「正確に言えば、弦の場合は長さと振動数が反比例する」のだそうです(小方厚著『音律と音階の科学』講談社ブルーバックス、27ページ)。
つまり、弦の長さが半分になれば、振動数は2倍になる。
そのとき、音は1オクターブ高くなります。
1オクターブ高い音をもとの音の「倍音」と言いますが、それは、振動数が2倍だからなんですね!

次に、弦をもとの長さの1/3にします。
すると、振動数はもとの数の3倍となります。
音としては、もとの音がドだとすると、1オクターブ高いドからさらに5度高いソです。
ドと1オクターブ高いソは、きれいに響き合います。
その弦を2倍の長さにすると、そのソから1オクターブ低いソとなります。
このソと、もとのド(5度違いの関係にあります)も、きれいに響き合います。
そのソから、弦の長さを1/3にして、さらに2倍あるいは4倍してオクターブの調整をする(弦の長さが、もとのドの長さからその1/2の長さまでに収まるようにする)、という手順を繰り返すと、

ド→ソ→レ→ラ→ミ→シ→ファ♯→ド♯→ソ♯→レ♯→ラ♯→ミ♯→シ♯
(譜面が芥川也寸志著『音楽の基礎』岩波新書、75ページにあります。)

となり、この13番目のシ♯のとき、もとのドと比べて弦の長さが限りなく1/2に近いので、1/2と同一視して、もとのドより1オクターブ高いドとみなすことにしました。
すると、1オクターブは12の音からできていることになります。
こうしてできたのが、ピタゴラス音階です。
今、一般的に用いられている音階は、1オクターブを数学的に12に分けた平均律ですが、そのおおもととなっているのは、このピタゴラス音階なのです。
それを実際に体感するのに、もちろん、モノコードを手作りしたり、家にあるギターやバイオリンを使ったりするのもよいですが、弦が長くて13本もあり、しかも1本に1個の駒(柱=じ)がもともと付いているお箏を使うのが、一番ラクでわかりやすいんじゃないかな、と思いました。
以上が、なぜ「お箏で自由研究」という話になるのか、についてです。

なお、小学生には難しいかもしれませんが、こんなページもありましたよ。
ご参考まで。

数学の歴史博物館「モノコードとピタゴラス音階」

次は、お箏のどこがどうすごいのか、についてです。
すぐ上で触れたがポイントになるのですが、柱を動かして音の高さを変えられるということは、13個の柱を動かすことでさまざまな音階を作れることを意味します。

文化デジタルライブラリーの「舞台芸術教材で学ぶ」「日本の伝統音楽 楽器編」演奏図鑑 箏「調弦」では、実際に柱を動かして調弦している様子が見られます。
「平調子」では、箏で最も一般的な音階である「平調子(ひらぢょうし)」が聞けます。
「押し手」「あと押し」「引きいろ」のように、弦(お箏では糸と言います)の張力を調整して音の高さを変える奏法を見ることもできます。

ところで、「調子」は相対的な音の関係(完全5度など)を示すものなので、さらに音の高さの指定がないと、調弦ができません。
音の高さの表現のしかたには、雅楽由来の「壱越(いちこつ)」「双調(そうじょう)」、西洋音楽由来の「D」「G」、三味線系や尺八系など、いろいろあります。
楽譜の頭のところに、

「平調子 一=D」
「平調子より一は五の乙 一=D」(乙は、1オクターブ下のこと)
「平調子より四を一音上げる 一=D」

などと指定があり、そのとおりに調弦するわけですが、調弦のバリエーションは無限にあるのではないか、と思ってしまうほどです。

調子も、平調子を基本としてさまざまです。
例えば「乃木調子」は、平調子から、四・九・六・斗(ト。十の次の糸です)をそれぞれ半音上げた音階です。
ファ(ドから四つめの音)とシ(ドから七つめの音)がないことから、「ヨナ(四七)抜き音階」と呼ばれます。
お箏の教本からピックアップすると、「夕やけ小やけ」「たき火」「春の小川」「赤とんぼ」「証城寺の狸囃子」など、童謡や文部省唱歌が多い印象。
雅楽の「呂旋法」と同じ音階で、日本的な音階とされています。
現代日本のヒット曲にも多く見られます。
他方、ペンタトニック・スケール(5音音階)とも同一で、スコットランド民謡に多い音階とされています。
「蛍の光」は有名な例ですね。
多くの人がカバーしている賛美歌の「アメイジング・グレイス」(作曲者不詳)も、ペンタトニック・スケールです。
前掲『音楽の基礎』には、「ヨナ抜き音階」(ペンタトニック・スケール)は「世界でもっとも広く分布している五音音階」と書かれていました(73ページ)。
実は、上で見たピタゴラス音階の最初の5音(ドレミソラ)が、ペンタトニック・スケールと同じなんですが、ピタゴラスの頃のギリシャにすでにペンタトニック・スケールがあった、ということなんでしょうかね?

ところで、さきほど、乃木調子(ヨナ抜き音階)が日本的な音階とされている、と書きました。
前掲『音楽の基礎』では、4つの五音音階が「もっとも代表的な日本音階」と紹介されていて、その1つは「雅楽呂旋法」、つまりヨナ抜き音階です。
しかし、4つの中には「俗楽陰旋法」というものがありまして、私には平調子と同じに聞こえます。

しかも、「さくら」と「江戸子守唄」(ねんねん ころーりーよ)は、最も日本らしい曲と言ってもよいだろうと思いますが、お箏の教本では、「平調子より一は五の乙 一=D」という指定なんです。
要は、平調子ということです。

ということは、乃木調子よりも平調子のほうが、さらに日本らしい音階なのではないのでしょうか?
だからこそ「平調子」として、さまざまなお調子の基準となっているのではないか……。
そんなことを考えながら、お箏も演奏される小山貢山さんのブログ「三味線弾きシシドの「日本文化ゎやばい!」」の乃木会館というエントリの補足を眺めていたら、「乃木調子」の「乃木」は乃木将軍由来のようです。
私の勝手な想像ですが、明治期に入ってきた西洋音楽に違和感を抱いていた日本人が、唯一ペンタトニック・スケールに懐かしさを感じ、「そういえば、同じのがタンスの奥に眠ってたわ」的に雅楽呂旋法(ヨナ抜き音階)が再発見され、当時の英雄にちなんで「乃木調子」と命名され、日本にやってきた西洋人、西洋化の進んだ日本人双方に愛された結果、不動の地位を築いていったのではないでしょうか。

つまり、お箏は、日本古来の平調子と、世界中で昔から愛されている乃木調子(ヨナ抜き音階、雅楽呂旋法、ペンタトニック・スケール)、そして今の基準となっている西洋風のドレミの音階(ピタゴラス音階も平均律音階も含む)、さらにそれらのバリエーションによる自由自在な調弦が可能であり、しかも、曲の途中で柱の位置を動かしてお調子を変えることもでき、そのうえ「あと押し」など奏法による音の微妙な変化まであります。
これはもはや、音楽についてのすべてをお箏1面で学べる、と言っても言い過ぎではないでしょう。
前掲『音楽の基礎』にも、

「日本の民族楽器は、笛の類でも太鼓の類でも、琴(原文ママ)や三味線のような絃楽器でも、楽器の構造は一見きわめて単純である。一方もっとも一般的なヨーロッパの楽器であるピアノは、構造的には比較にならない複雑さをもっている。ところがその楽器から出される音色は、日本の楽器とは比較にならぬほど単純なものだ。音楽に限らず、日本人は古来、単純なものから複雑なものを引きだすことに熱中し、ヨーロッパの人たちは、複雑さのなかから単純なものを引きだすことに情熱を傾けたのである」(89ページ)

と書かれています。

もっとも、「音楽についてそんなにがっつりと学ぶ必要はない。それより、国語算数理科社会といった受験で必要な教科を学ぶべきだ」と考える人もいることでしょう。
中学受験についての私の考えは別のエントリを見ていただくとして、文部科学省は16年4月に、小学校でのプログラミング教育の必修化を検討すると発表しています。
20年度からの新学習指導要領に内容を盛り込む方向で議論しているとのこと(朝日新聞デジタル小学校でのプログラミング教育必修化を検討 文科省)。
それをうけた、文部科学省サイトの「小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議」による小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)では、

「プログラミング教育とは、子供たちに、コンピュータに意図した処理を行うよう指示することができるということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育むことであり、コーディングを覚えることが目的ではない」
と述べています。

そして「プログラミング的思考」は、「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」と定義されていますが、これって、作曲そのものではないでしょうか?
「自分が意図するを実現するために、どのようなの組合せが必要であり、一つ一つの音に対応した音符を、どのように組み合わせたらいいのか、音符の組合せをどのように改善していけば、より意図した曲に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」と読み替えてみて、あまりのフィット感に驚きました。

もちろん、これは私1人の妄想ではなく、「4.小学校教育におけるプログラミング教育の在り方」には、音楽の授業の中でプログラミング教育をするケースも挙げられており、「音楽づくりの活動において、創作用のICTツールを活用しながら、与えられた条件を基に、音の長さや音の高さの組合せなどを試行錯誤し、つくる過程を楽しみながら見通しを持ってまとまりのある音楽をつくることや、音長、音高、強弱、速度などの指示とプログラムの要素の共通性など、音を音楽へと構成することとプログラミング的思考の関係に気付くようにすること」について述べられています。
もちろん、算数の計算などもプログラミング教育と相性は良いのですが、楽しく学ぶことを考えるならば、音楽の授業との相性が一番ではないか、と思っています。

そうした授業で使えそうなツールも登場しています。
ヤマハ株式会社のSmart Education Systemです。
これはスマートデバイスを活用した小中学校向けの音楽教育ソリューションで、17年1月に、音楽教材の第1弾として、VOCALOIDのエンジンを用いた作曲アプリ「ボーカロイド教育版」、楽器演奏を学べる「ギター授業」および「箏(こと)授業」の提供開始がアナウンスされています。

「ボーカロイド教育版」は、その名の通り、音声エンジンに、あのVOCALOIDの技術を採用した作曲アプリです。
INTERNET WatchのVOCALOIDを音楽の授業に、ヤマハが小中学校向け作曲アプリ「ボーカロイド教育版」、楽器演奏を学べる「ギター授業」「箏授業」もによると、歌わせたい言葉をテキスト入力した後、音程と音の長さを表すグリッドのマスにタッチで色を付けていくと、その音程・音長に言葉が1文字ずつ割り当てられ、再生ボタンを押せばすぐに歌わせることができるそうです。
歌声は最大で4パートまで重ねることができ、伴奏を追加することも可能。
パートごとに女性の声と男性の声のいずれかを選べるほか、歌声ではなくピアノ、、リコーダー、ギターの音色に設定することもできるようになっている。
音色を、「単純なものから複雑なものを引きだ」すことのできる箏に設定し、ひたすら筝曲を作曲したならば、かなり高度な「プログラミング的思考」力が身につくのではないでしょうか。

蛇足ですが、和楽器の中でなぜお箏にスポットライトが当たっているのか、というと、他の和楽器は1回、2回の練習ではまともに音が出ません。
篠笛、尺八、鼓(つづみ)などなど。
お箏の場合は、良い音かどうかは別として、とにかく音は出る。
だから、学校の和楽器の授業でお箏が使われることが多いんだと思います。

以上が、お箏のどこがどうすごいのか、についてです。

お箏を弾いてみたくなったお子さんがいたら、ワクワクの学び体験が集まっているGifte!(ギフテ)というサイトで謹賀新年!お箏体験が提供されていますので、ぜひチェックしてみてください。
初回は明後日なのですが、人気があれば、今後もお箏体験が提供されるかもしれないので、ときどきギフテのサイトをのぞいてみてください!

あと、お箏については、「春の海」の宮城道雄とブルー・オーシャン戦略とこれからの子育てというエントリもあります。
よろしければ、どうぞ。

親子で考えるパラリンピック(家庭で行う探究型の学び)

みーちゃんは学校で「お知らせ係」をしています。
聞きなれない係だと思います。
それもそのはず、担任の先生がハプニング的に新設した係なのです。
ことのおこりは7月くらいだったと思います。
海外在住のお子さんが、夏休みに日本に帰国し、滞在期間だけ日本の小学校に体験入学しよう、という趣旨で、みーちゃんのクラスにやってきました。
みーちゃんは新しいクラスメートに興味をもち、彼女が住んでいる国について知りたいと考えました。
そして、新聞係に、調べて掲載してくれるように頼みました。
しかし、新聞係は今、クイズ(なぞなぞだったかも)に夢中。
断られてしまいました。
そこで、担任の先生に相談したところ、「お知らせ係」を新設して任命するから、自分で調べて「お知らせ」を書いて貼り出しなさい、と言われました。
で、みーちゃんは、そのとおりにしたわけです。

そのお知らせの出来がよかったのかどうか、9月に入って、先生から「パラリンピックのお知らせを作って」とオーダーが入りました。
しかし、自分から言い出したテーマではないので、なかなか火が付かず、パラリンピックが閉会してもほったらかし。
テレビでパラリンピックの映像を見せるなど、関心をもつように仕向ければよかったのですが、忙しくてそこまではできず。
もちろん、お知らせ制作は義務ではないので、スルーしてもよいのですが、私もみーちゃんに(後述するような理由から)パラリンピックについて深く知ってほしいと思いましたし、先生がみーちゃんの、自分で調べるのが好きなところ、学校の授業では物足りないと感じているところを見抜いて、わざわざ声をかけてくださった、と感じたので、その思いに応えさせたくて、「やりなさい」と強く言いました。

そうしたら、なんてこっちゃ、ウィキペディアを丸写ししはじめました。
何ページの大作になることか、こりゃあかん、ということで、私が原稿を作り、写真を選んで、清書だけさせたのが、こちらです。

リオパラ01
リオパラ02
リオパラ03
リオパラ04
リオパラ05

その前に説明が必要ですね。

なぜ日本は「共感教育」なのか?で述べたように、私は、日本の作文教育には、「(大人から見て)子どもらしいという、内容的な“型”」があると考えています。
私は、そういう、「自由に書きなさい」と言いながら、書くべき内容が決まっている、みたいな作文が好きではありません。

だから、「多面的に評価」って何?では、大学入試改革への対応として「具体的に親としては何をすればいいのか」の中で、

・正しい日本語、美しい日本語が使えるように応援すること

・(今多くの日本の学校で書かせているような「気持ち」重視の作文や読書感想文ではなくて)論理的な小論文を、日本語か英語で書けるように応援すること

と書きました。
その具体的実践として、私は、学校から作文や読書感想文の宿題が出ると、(自発的に書きはじめるなら放っておくのですが、だいたい「さくぶん、きらい~」と言ってなかなかやらないので)本人に宿題のテーマについて質問をして、その内容をもとに、ほぼ口述筆記させています。
だんだん、最初の一文を書かせた辺りで、「あとはかける」「わかった」などと言って一気に書き出すようになりましたが、テーマや体調によっては最後まで口述筆記のときもあります。

今回のパラリンピックのお知らせも口述筆記をしようかと思ったのですが、文章量があり、私の拘束時間が長くなってしまうので、先にお手本(下書き)を完成させておいて清書をさせた、というわけです。

という次第で、この「お知らせ」は、基本的に子どもの作文という位置づけであり、あまり手をかけていません。
参照記事からつまみ食いして、ちょこちょことコピーしたり、平均的な小学3年生でもわかる表現に改変したり、です。
だからこそ逆に、文章を書くのが苦手な親御さんにも参考にしてもらえるかな、と思い、公開します。

なお、こうした経緯から制作しているので、著作権への配慮は甘いです。
公開の趣旨にかんがみてご容赦いただければありがたいですが、ご指摘があれば削除いたします。

以下、制作のポイントを解説します。
基本方針は、

小学3年生が理解できて、興味をもてる内容にすること。
知らないことやわからないことは、友だちや親に聞いたり自分で調べたりするきっかけになるように、説明し過ぎないこと。
2020年の東京パラリンピックへの関心が高まる内容にすること。
もちろん、パラリンピック自体への理解が深まること。

「パラリンピック自体への理解」には2つあります。

1つは、パラリンピックの意味が変わりつつあることへの理解です。
「正直言って、オリンピックは好きだけど、パラリンピックには興味ない」という人は多いと思いますが、これからは認識を改めたほうがいいです。
お知らせ4ページ目で触れているマルクス・レーム選手は、オリンピックに出場するのに必要な数字(記録)を出しており、今回のリオオリンピックへの出場を希望していました。
残念ながら、出場は認められませんでしたが、4年後の東京オリンピック・パラリンピックのときには、さらに義足の性能は上がっているはず。
レーム選手やほかの選手がオリンピックへの出場を希望したとき、認めるべきでしょうか?

仮に認めなかった場合、東京パラリンピックで、レーム選手らがオリンピックの金メダル記録を上回る記録を出す可能性は、十分にあります。
そうなると、どこまで記録が伸びるのか、という興味から、俄然、パラリンピックを観るのが面白くなってきますし、なぜ義足をつけた選手はオリンピックに出られないのか、オリンピックとはそもそも何か、という本質までさかのぼって議論せざるをえなくなるでしょう。

ピンとこない方がいたら、Eテレで放映された地球ドラマチック「義肢がつくるミラクルボディー!?」がおそらくNHKオンデマンドで観られると思うので、ぜひご覧ください。

さて、もう1つは、オーソドックスな理解です。
これからは「高度な事務処理能力」が必要で述べたように、自分の日常生活とは直接関係ないように思える出来事を“他人事”とせずに正当な関心をもち(知的好奇心)、自分が経験したことのない事柄についても思いを馳せ(想像力)、そうした出来事や事柄を整理し直し、組み合わせて、納得感のある解を導き出す能力、つまり、正解がない問題を手際よく解く能力を、私は「高度な事務処理能力」と呼んでいますが、この能力を鍛えるテーマとしてパラリンピックは最適だと思います。
その具体例が、実は1つ目の理解として述べたことだったりするわけです。

なお、「基本方針」で、興味をもつ、聞いたり調べたりするということについて言及しましたが、それは、いわゆる「詰め込み式」とは反対の「探究型」の学びそのものです。
上で述べた「高度な事務処理能力」や、続編である今どきのリーダーシップのありかたで触れた「主体性」、また、東京の私立学校には2種類ある日本における学歴と階級と財力の関係で触れた「21世紀型スキル」につながりますね。

少し詳しく見ていきましょう。
まず、1ページ目。
冒頭部分は、ウィキペディア丸写し部分から抜粋し、みーちゃんの痕跡を残しました。
「注目せんしゅ」のザナルディ選手は、海外で有名だということ、(伝統的なパラリンピックのイメージを体現した)困難を乗り越えた不屈の精神の持ち主であること、さらに、F1と聞くと興味をもつ男子がいるかもしれない、と考えて選びました。
パラリンピックがどういうものかわかるように、写真は、ザナルディ選手の身体がよくわかり、かつ勝利のポーズのものを探しました。

2ページ目。
森下友紀選手については、まず、この写真を使いたいと思いました。
パラリンピックというものが一発でわかるインパクトがあったからです。
森下選手についても調べたのですが、初出場なので、あまり情報がありませんでした。
しかし、19歳と若いことで子どもたちは身近に感じるでしょうし、おそらく東京パラリンピックでも活躍してくれるだろう、と考え、掲載しました。
国枝慎吾選手(照明で写真が光ってしまいました…)は、手術の影響か、今回はあまり調子がよくなかったようですが、UNIQLOの店頭ポスターやチラシを通して子どもたちは知っていると思ったので、掲載しました。
フェデラー選手の言葉も、パラリンピックについて考えさせるため、ぜひ紹介したいと思いましたし。

3ページ目。
自転車タンデムの鹿沼由理恵選手と田中まい選手については、(みーちゃんの学校の)運動会前のこの時期に、力を合わせることの大切さを印象付けたかったのと、2人の心の葛藤を描いた記事を読んで印象に残っていたのと(その内容自体は小学生のレベルを超えていたので、取り上げず)、2人乗り自転車に乗っている構図が、何というか、選手とサポートする健常者が対等に見えることから、取り上げました。
あと、ボッチャはどんな競技か、自分自身が知りたかったので(笑)、取り上げました。

4ページ目。
陸上走り幅跳びは、上で述べたようなパラリンピックの意味の変化、東京オリンピック・パラリンピックの見どころ紹介として、ぜひ取り上げたいと思いました。
写真も、山本選手の素晴らしい写真がありました!

5ページ目。
まとめも兼ねて、日本のメダル数。
写真をウィルチェアラグビーにしたのは、五郎丸選手の活躍でラグビーに興味をもった子どもが多いだろうということと、担任の先生が元ラガーマンなので、敬意を表しました(笑)。
参照サイトは、サイト名だけで、ページタイトル、記事タイトルは省略しました。

全体の構成について付け加えます。
「注目せんしゅ」「注目きょうぎ」は、パラリンピックのサイトを参考にしつつ、選んだ写真と書きたい内容を考えて、うまく収まるように決めました。
例えば、自転車タンデムの鹿沼選手は「注目せんしゅ」としてもよかったのですが、パイロットである田中選手にも注目したかったのと、2人の呼吸が合わないといけないというタンデムの特徴にフォーカスしたかったので、「注目きょうぎ」にしました。
陸上走り幅跳びの山本選手についても、「注目選手」としてもよかったのですが、上で述べたような、レーム選手や義足の進化にも注目したかったので、「注目きょうぎ」にしました。
後から、森下選手を1ページ目の下に、2ページ目の上半分をザナルディ選手にしたほうが収まりがよかったなあ、と思いましたが、上記のように、手をかけない方針だったので、直しませんでした。

以上です。
この「お知らせ」を起点として、これからの4年間、パラリンピックやオリンピック、さらには人間と科学技術について、親子で考えていく予定です。
みなさんも、親子合作で「お知らせ」を作ってみませんか?

プロフィール

渡辺リエラ
1969年東京生まれ。1988年東京大学文科1類入学。1992年東京大学法学部卒業。出版社勤務、専業主婦を経て、現在、別名義にて大学講師などとして活動中。2007年7月第1子「みーちゃん」誕生。
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生後106日以降のママ日記は有料とさせていただいております。有料とする理由含め詳細は「当サイトについて」をご覧ください。
取材(「取材してほしい」「取材したい」の両方)、お子さまの教育についての相談(実費申し受けます)などもお気軽にどうぞ。「お問い合わせ」からご連絡をお願いします。

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