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東大入試 その1

ちょっと前ですが、朝日新聞社サイトに「東大入試に「第3の道」 5~10年先見据え改革着手」という記事が出ました(2011年10月16日3時2分)。
東京大学は、浜田総長の指示により、この8月に「入試企画室」というのを設置したそうです。
5~10年先を見据えて、従来の選抜方法や前期・後期日程など、根本から改革を検討するそうです。

現在の東大入試は、前期が教科型の試験(12年度計2963人)、後期は小論文や応用問題などが中心で、12年度は計100人の募集枠とのこと。
「後期日程を中心に、従来のペーパーテストでもAO入試でもない「第3の道」を探る」
と記者は書いていますが、どんな道になるのでしょうか?

個人的には、一発勝負ではない方向、例えば推薦入試のような方向がいいかなと思います。
じっくりと力を蓄えている子が評価されるような入試です。

もちろん東大がサイコーというわけではないけれど、現実には東大の出した結論は、多くの大学に影響を与えることでしょう。
その意味で、気になる記事でした。

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Comment

  1. geny says:

    今は、ある種のテクニックを磨けば東大に入れるようになっているようですね。東大卒のタレントが目に付くようになったのは、質の低下を示していると思います。

    また、入学後の教育はどうなっているのでしょうか。私は法学部の授業が全く理解できませんでした。医学部6年間の授業についても、国家試験と研修医時に身に付けた知識のほうが、質・量ともに勝っています。

  2. 渡辺リエラ says:

    genyさん
    コメントありがとうございます。
    「今は、ある種のテクニックを磨けば…」は、前期の話ですかね? ああいう知識優位の試験が続くと、やはりどうしても攻略法の完成度が上がってしまうのでしょうか。
    genyさんも法学部出身なのですね。法学部の授業については、あまり記憶にありません。30年くらい上の先輩に「あの空間で聞いたことは(本で読んだ内容より)血肉になる」と言われましたが、残念ながら同意できませんでした。他方、今は弁護士として活躍する友人は「基本書を読み込んだ司法試験受験生レベルじゃないと、あの講義の意味はわからない」と言っていましたね。
    社会に出てから自分の勉強不足が恥ずかしくなり、基本書も相当読みました。それが今、血肉となっています。その経験から、学部の授業が自分の役に立たなかったのは、先生の授業ベタだけではなく、私が予習をしなかったこと、耳からの学習が好きではなかったこと、なぜ今これを勉強するかが明確でなかったこと、が原因だったのかな、と考えています。
    個人的な話になってしまいました。
    たぶん私より勉強家で、医学部の授業も受けたgenyさんは、どんなふうに分析しておられるのでしょうか? 興味があります。お時間ある時にお聞かせください。

  3. geny says:

    法学部も医学部も「総論」から教えます。しかし、世の中で問題になっているのは「各論」です。様々な具体的「各論」の中から抽象的「総論」が必要になってくるのではないでしょうか。

    元々、具体的な病気(=各論)というものがあって、その原因を探るうちに抽象的な生理学だの、生化学だの、解剖学だのという基礎医学(=総論)が必要になってきたのだと思います。

    臨床に携わるうちにその重要性と意味が理解できるようになります。「問題意識(=各論)」があるからです。

    ところが、医学教育はその逆です。「問題意識」のない学生に解剖実習をさせたり、難解かつ抽象的な基礎医学を教えたりしても意味がないのです。臓器の位置関係と機能をごく簡単に覚えさせてたら、それらの機能不全である「疾患」から教えればいいと思います。そして、「この病気の原因は〇〇なんだけど、詳しいことは、基礎医学を習うまでのお楽しみ~!」って具合にすれば、「問題意識」が高まるのではないでしょうか。「疾患」は具体的で「興味深い」のです。ビートたけしの番組「本当は怖い~」がヒットするのも、皆の「問題意識」に訴えかけるからだと思います。

    ある生化学の教授が、生化学の不思議さを熱心に講義しました。彼にとってはライフワークですから当然でしょう。でも、学生にとっては「???」です。で、最後にその教授は「君たちこれをどう思う?」と質問です。ところが学生は「???」ですから、無言です。すると彼はいらだって「何か思え!」と口走りました。(文法上、「思う」の命令形は「思え」ですが、実際に使われる場面に遭遇したのは初めてでした)

    法学部でもそうです。いきなり抽象的な「法とは?」だの「意思表示とは?」だのを説く前に、民法であれば「債権各論」あたりから始めたほうがよいのではないでしょうか。刑法でも「構成要件該当性→違法性→責任能力」といったごく基本的な考え方だけをまず簡単に教えて、さっさと各論に入り、必要に応じて「総論」での問題点に戻って議論すればいいと思います。

    「そもそも法とは・・・」「そもそも細胞とは・・・」などという先達が長年かかって到達した境地をいきなり初学者に理解せよというほうが無理です。

    子供に「なんで?」と尋ねられたら、直近の理由を答えませんか?それでも「なんで?」ときたらもうワンステップさかのぼって答える。いきなり「そもそも人間ってものはね・・・」などと始めることはないと思います。

  4. 渡辺リエラ says:

    genyさん
    コメントありがとうございます。
    「何か思え!」は象徴的ですね……。笑うを通り越して、哀しくなってしまいます。
    総論→各論のパンデクテン方式、あるいは演繹的、ドイツ法学的な発想は美しいかもしれないけれど、初学者には向いていないと私も思います。英米法的、と言っては強引かもしれませんが、いわゆるロースクール的なケーススタディのほうが具体的なイメージを持てます。問題意識も持てるし、学習意欲も高まる。
    ただ、私も大学講師の端くれとして実感するところですが、ケーススタディ的な授業って難しいんです。教師の質が問われる(学生の質も)。
    その点、パンデクテン方式なら、教育者としての能力はなくても、学者であれば教えられる。限られた時間で一通り教えることも容易です(理解できるかは学生次第)。
    あと、法学も医学も、(例えば数学と比べて)知識優位の学問ですよね。網羅性が必要というか。その辺の難しさもあるかもしれません。学生時代、文学部の授業も履修しました。社会心理や美術史、社会学などでしたが、どれもテーマは個別具体的で興味深く、「学問ってこういうものだよ」とチラリと見せてもらった感覚もありました。
    いずれにせよ、いくら入試をいじっても、入った後の教育が変わらなければ、あまり意味はありませんね。ご示唆の通りだと思います。

  5. geny says:

    確かに「ロースクール的なケーススタディ」が理想的だと思います。しかし、学生の能力を考えると「サルでも分かる」くらいレベルで各論から入っていったほうがよいのではないでしょうか。

    「ケース」まで具体的でなくても、「〇〇という疾患がある、症状は〇〇、〇〇で炎症が起こっている、炎症の原因は自己免疫だ、診断は〇〇検査で〇〇を見る、治療はステロイド投与」くらいでいいのです。でも、授業では「この炎症は、細胞性免疫〇〇が、サイトカイン〇〇を誘導することによって・・・」「そして、細胞膜上の〇〇トランスファーのカルシウムチャネルが・・・」と徒に深入りしていきます。こういう細かい話は、患者を診るようになると自然に知りたくなります。

    法学教育も医学教育も実務者養成が主目的なのですから、初学者を徒に小路に誘い込んでも仕方ないと思います。

    「知識優位・網羅性」(=体系性)が必要な分野だからこそ、抽象的な話には深入りせずに、各論をコンパクトに教えて、体系の中の「現在地」を確認させながら学習させる必要があるのではないでしょうか。

  6. 渡辺リエラ says:

    genyさん
    コメントありがとうございます。
    「法学教育も医学教育も実務者養成が主目的なのですから、初学者を徒に小路に誘い込んでも仕方ないと思います」
    おっしゃる通りですね。良い意味で“広く浅く”学習させる必要があると思います。

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プロフィール

渡辺リエラ
1969年東京生まれ。1988年東京大学文科1類入学。1992年東京大学法学部卒業。出版社勤務、専業主婦を経て、現在、別名義にて大学講師などとして活動中。2007年7月第1子「みーちゃん」誕生。
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