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だから「“理系vs.文系”の極端なキャラクター同士」じゃないんですよ

月九「デート~恋とはどんなものかしら~」とブルデューの「ハビトゥス」の関係(以下、「前エントリ」と書きます)がわかりにくかったみたいなので、補足します、すみません。

2015年1月~3月期、話題の月九ドラマデート~恋とはどんなものかしら~の評判の良さについて、dot.というサイトの長谷川博己がゲスな男役 ドラマ評論家「見事」と評価(週刊朝日 2015年2月13日号)は、
「脚本は、『リーガルハイ』の古沢良太。理屈っぽいドラマを得意とする古沢らしい“恋愛という概念”自体を揺さぶる恋愛ドラマとなっている。データにしか興味がない依子と、フィクションの世界にしか興味がない巧という“理系vs.文系”の極端なキャラクター同士のやりとりは、見ているだけで楽しい。」
と述べています。
わかってないなあ~~~(溜息)
もちろん、他にも同趣旨の記事がたくさんありまして、この記事だけの問題じゃないのですが。

結論から言うと、
「デート~恋とはどんなものかしら~」の評判が良いのは、主役2人が「今まで足りなかった、これからの世の中に必要だ、と今、叫ばれているもの」を体現しているからです。
「今まで足りなかった、これからの世の中に必要だ、と今、叫ばれているもの」とは、教養や論理的思考力のこと。
高等遊民を自称する谷口巧(演じるのは長谷川博己)は教養を体現していて、杏演じる「リケジョ」藪下依子は論理的思考力を体現しています。
だから、教養だの論理的思考力だのといったお堅い説明を聞いてピンと来ない人も、直感的に、一見「イタイ」と思われる主役2人の人物造型に新しさを感じ取り、惹かれるのではないでしょうか。
つまり、谷口巧と藪下依子が、まさかと思われるかもしれませんが、実は、これからのヒーロー・ヒロイン像なわけですね。

もっと言えば、前エントリで書いたように、教養や論理的思考力は、ブルデューのいう「ハビトゥス」です。
だから、教養や論理的思考力をしっかりと身につけた人間を作るには、ワインが熟成する以上の時間、例えば数世代という時間がかかります。
前エントリで書いたように、藪下依子の両親(母親は亡くなっていますけどね)を見ていると、こういう母と父だからこそ、論理的思考力の塊のような依子ができたとつくづく感じます(谷口巧のほうの事情は、現時点では謎となっていますが……)。
そして、その次の世代、谷口巧と藪下依子が結婚して生まれる子ども、つまり完全なる教養と論理的思考力を体現した人こそが、たぶん私たちが待ち望んでいる救世主なんですね。
人口減少と少子化により衰退シナリオしか描けない極東の島国に、職と食を運んできてくれる人。
5つのパンと2匹の魚で5000人を満たしたイエスのような奇跡を起こしてくれる、これからのヒーロー・ヒロイン。
そんな予感に満ち満ちているからこそ、「デート~恋とはどんなものかしら~」は新しいし、楽しいのです。

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プロフィール

渡辺リエラ
1969年東京生まれ。1988年東京大学文科1類入学。1992年東京大学法学部卒業。出版社勤務、専業主婦を経て、現在、別名義にて大学講師などとして活動中。2007年7月第1子「みーちゃん」誕生。
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