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サッカーで理解しよう、“分解”すればロジカルになれることを

良き指導者はどこにいる? 「論理的」「ロジカル」が目印だ!で書いたように、サッカーの世界では、すべてが、異なる文化圏に属する者にも(イスラム圏にも)、さまざまな教育レベルの者にも(学校に行けないような貧困層にも)、きちんと伝わるように、明確に言語化されているように思われます。
言語化されているとは、単に翻訳されている、ということではありません。
さまざまなバックグラウンドをもつ人々にきちんと伝わるためには、内容が「論理的」「ロジカル」である必要があると思います。
「ロジカル」と言うと、難解な論文をイメージする人もいるかもしれません。
でも、そうした難解な論文も、記述をうんと、うんと、細かく“分解”してみれば、とてもシンプルで誰もが納得できるような「論理」「ロジック」から成っているはず。
逆にどこか1個所でも「論理」「ロジック」が飛んでいれば、それはおそらく欠陥のある論文のはずです。

なぜそんなことが断言できるかと言うと、世界中のあらゆるバックグラウンドをもつ人々に「なるほど、その通りだ。そうしよう」と言ってもらうには、シンプルで誰もが納得できるような「論理」「ロジック」を根気よく積み重ねていくしかないからです。
それは、子どもを納得させるときも同じです。
フットボールチャンネルの昨年のエントリバルサU-12圧勝にはワケがある。リバプール・コーチが指摘する日本の育成現場に欠けていることによると、「リバプールFCのサッカースクールで、8~14歳の選手育成に従事している日本人コーチ」宇治誠氏は、イングランドの選手と比べて、
「ピッチ上でのプレーの選択肢を『多く発見する』『最適なものを判断する』『素早く実行する』という3つのスキルが、現在の日本のU-12世代には欠けている」
と指摘したそうです。
イングランドでは、子どもたちが「納得のいくように、コーチが理由も含めて説明して」いくそうです。
同エントリには、例えば、「フォワードの選手が味方にパスを出すべき場面でシュートを打ったとしたら、どう声をかけるのか」が具体的に書かれていて、とってもわかりやすいのでぜひ読んでほしいのですが、そのポイントはまさに、プレーを1つ1つの動きや判断に“分解”することなんです。
“分解”するから、コーチが子どもを褒めるべきポイントが明確になるとともに、今後どう修正したらいいかを、子どもが自分で判断できるわけです。
コーチは、そのように“分解”した「問いかけをしていくことで、その瞬間に選手が置かれている状況を共有し、自発的な成長を促していく」のです。
素晴らしい指導ですね。

このレベルの指導者は、まだ日本では少ないんだろうなあ、と思ったのは、SportsnaviのバルサU-12・久保建英のすごさとは? 指導者たちが語る「頭の良さ」と「賢さ」を読んだから。
東京ヴェルディジュニアの松尾洋監督は、久保くんが属するFCバルセロナU-12と対戦した感想として、
「判断のスピードが違う」
と言ったそうです。
揚げ足取りのような言い方になってしまうのが心苦しいのですが、「判断のスピードが違う」は違うんじゃないかなあ、と思いました。
「判断のスピードが違う」を文字通りに理解すると、判断はしているがスピードが遅い、というニュアンスになりますよね。
でも、日本のチームはそもそも(久保くんがしているような意味での)判断をしていないんじゃないか、と思ったのです。
それなのに、ちゃんと判断をしている気になっている、そこが問題じゃないかと。

つまり、久保君がしている判断とは、上で宇治誠氏が述べているような、ピッチ上でのプレーの選択肢を多く発見し、その中から最適なものを判断し、素早く実行する、というもの。
その不可欠の前提として、当然、プレーを1つ1つの動きや判断に“分解”しているはずなんです。
細かく分けて、その1つ1つを吟味している。
それを日常的にやっている。
すると、どんどんスピードは上がる。
だからこそ、「今大会のバルセロナは1チームだけ早送りで動いているかのようなスピードでプレーをしていた」と書かれるわけです。

一方、“分解”をしないで練習していると、一連の動きをぐちゃっと把握することになります。
そうすると、どうしても判断が大ざっぱになる、甘くなる。
言葉としては同じ「判断」であっても、それはもう、久保君がしている判断とは別物でしょう。
やっぱりまずは“分解”からですよ、何事も。

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プロフィール

渡辺リエラ
1969年東京生まれ。1988年東京大学文科1類入学。1992年東京大学法学部卒業。出版社勤務、専業主婦を経て、現在、別名義にて大学講師などとして活動中。2007年7月第1子「みーちゃん」誕生。
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