2007年04月

首が痛い(6週3日)

 この日の朝、なかなか起き上がれませんでした。
 首から肩にかけてバリバリに固まってしまい、ちょっとでも動かそうものなら、激痛が襲ってくる始末。
 横を向いたり、うつぶせになったり、もぞもぞと動いて、おのれの身体をだましだまし、なんとか起き上がったものの、洗面所でも問題が!

 うがいができないのです。
 水を口に含んで上を向こうとするのですが、首から肩のあたりがストライキを起こしたかのようで、まったく動いてくれません。
 強引にあごを持ち上げて、
「ガラガラー」
と、うがいをはじめたら、首に激痛が走り、衝撃で口から水があふれてしまいました。

 その痛みは、寝違えのようでもありましたが、寝違えにしては痛みがひどすぎます。
 これまでに経験したことのない、深くて、しかも鋭い痛みです。
〈ここ数か月、体調がよい気がしてマッサージに行かなかったつけが、とうとう回ってきたんだ〉
と感じました。
 これはどうにかしなくてはいけません。
 まず、数か月前までかよっていたマッサージ屋さんに電話しました。
 マッサージ屋さんって、「妊婦はお断り」というところが多いんです。
 ところが、妊娠2か月であることを告げると、
「2か月なら大丈夫です。妊娠3か月からはマッサージできません」
との返事がかえってきました。
〈妊娠2か月と3か月、どこが違うんじゃ? 流産とか、もろもろの危険は、似たようなもんじゃろが〉
と、不思議に思いました(なぜか広島弁?)。
 しかも、6週3日といえば、妊娠2か月の後半。
 あと10日間ほどで妊娠3か月に入ります。
 なのに、妊娠2か月と3か月の違いを納得できないままマッサージを受けて、何かあったら、と思うと、ちょっとコワイ。
 ところが、困ったことに、そのマッサージ屋さんで働いている人はみんな中国人で、“日本語勉強中”の人ばかりなのです。
 マッサージをうけているときも、
「○○という言葉は、どういうとき使う?」
と聞かれ、これがまたイイところをついていて、頭を抱えることもしばしばでした(無意識にやっていることを意識させられるから、勉強になるのです)。
 かといって、私は中国語がまったく話せません。

 やむをえず、微妙なやりとりは断念し、
「出産したら、また行きますね」
と言って、電話を切りました。
 そして、だいぶ前にかよっていた、近所のS治療院に電話。
〈「治療院」と名乗っているところなら、妊婦もOKかも〉
と考えたんです。
 症状とか、体調とか、いろいろ聞かれたものの、なんとかOKしてもらえました、ホッ。
 それで、S治療院に3回くらいかよいましたが、首の痛みに好転のきざしはなし。
 美容院に行っても、シャンプーしてもらうことができず、困ります。

〈そういえば、前も、ここ、いまいちだなあ、と思って、通わなくなったんだったっけ〉と思い出し、近所にあるU治療院にかようことにしました。
 U治療院は、「気で治す」が売りの治療院です。
 ちょっと、アヤシゲでしょ?(笑)
 実は、首が痛くなる前から、肩こり腰痛に悩んでいる夫に、
「ドラッグストアの前にあるU治療院って、腰痛が治るって評判みたいよ」
とかなんとか、テキトーなことを言い、偵察に行かせていたんですねー(実験台にして、ごめんヨ)。

 夫の感想は、といいますと、
「気を入れるだけだから、強くもんだりはしないんだけど、あったかくなる。眠たくなって寝ちゃったから、よくわかんない」
 わからないなりに、けっこう気に入った様子でした。

 で、ドキドキしながらU治療院の治療をうけたわけなのです。
 たしかに、ツボを押さえて気を入れるだけなので、正直言って、強もみに慣れている人間には、物足りなさが残ります。
 でも、気持ちは良かったです。
 それに、あとから考えると、いろいろ微妙な妊娠初期ですから、物足りないくらいのソフトな治療が適切だったと思います。

 先生も、やさしい目をした物静かな人で、
「このあたりが固いですねえ。わかりますか」
と言いながら、肩甲骨の内側をさすってくれたり。
 右側のほうが痛いと私が言うと、
「左のほうがこっていますねえ」
と言われて、びっくりしたり。
 そんなふうに、たくさんの人の身体を診てきた人が、なにかと心細いこの時期に、自分のものとは思えないくらい変化を遂げつつある身体と、一緒に向き合ってくれた、ということが、精神衛生上も、とても良かったと思います、あとから気づいたことですけど。

 首の痛みのほうも少しずつ楽になり、5回ほどの治療で治りました。

 わからないのは、これもつわりの一種なのか、ということ。
 果たして、妊娠と関係があるのでしょうか?
 そのヒントは、8週2日に見学する助産院にありましたが、今日はここまで。

鼻の目覚め(5週5日)

 唐突ですが、私、鼻が悪いんです。
 アレルギー性鼻炎っていうんでしょうか。
 子どものころから、鼻が詰まったり、ゆるんだり。
 春は目もかゆくなるので、花粉症もあるんだと思います。

 そのせいでしょうか、匂いに鈍感なんです。
 悪い臭いに鈍感なのは都合がよいですが、なんといっても悔しいのは、良い匂いをかげないこと。
 夫は、
〈前世は犬だったんじゃない?〉
と、イヤミを言いたくなるほど鼻が利くんですが、彼に、
「あ、梅の香り……。そうか、君にはわからないよね」
と言われたときの、みじめな気持ちといったら、ありません。

 その鼻が変わりました!
 匂いに敏感になったんです。
 最初に気づいたのは、ごはんの炊きあがる匂い

 よく、つわりの例として、ごはんの炊きあがる匂いで気持ち悪くなる、と聞きますが、私の場合、気分が悪くなることはありませんでした。
 ただ、
〈ごはんが炊きあがるときって、こんな匂いがするんだあ〉
という発見と感動あるのみ。

 もちろん、気持ちが悪くなる匂いもありました。
 例えば、微妙かつ繊細な、かつおだしの匂い
 そのせいで、お煮しめが食べられなくなりました。
 肉じゃがとか、もう少し濃い味付けなら大丈夫なんですが。

 それにしても、ごはんの炊きあがる匂いでは気持ち悪くならないのに、かつおだしの匂いだと気持ち悪くなるって、どーいうことなんでしょうか。
 どっちも和食の定番の匂いだし、強い匂いじゃないところも似ているのに……。

 そのほか、吐き気をもよおした臭いは、こんな感じです。
排気ガス
台所用合成洗剤
洗濯用合成洗剤

 駅前が谷のような地形になっているためか、いつも排気ガスの臭いがこもっていて、出かけるときはマスクが必需品でした。
 台所用合成洗剤に関しては、○ョイがダメ。ヤシノミ洗剤の臭いは気になりませんでした。対策としては、基本的に、重曹の1%溶液かヤシノミ洗剤で洗い、油ギトギトのものは○ョイで夫に洗ってもらいました。ありがとよ。
 洗濯用合成洗剤では、○ールドがダメ。アタックは大丈夫。夫は○ールドがお気に入りなので、夫の服やタオルは自分で洗濯してもらいました(これは良い習慣!なので、続行中)。さらに、一番つわりのきつい時期は、○ールドをやめて、アタックを使ってもらいました。なお、私が洗濯するときは重曹を使いました。

 こんな感じで、けっこう苦労していました(私が、というより夫が、かもしれないけれど)。
 ところが、14週くらいからだったでしょうか、次第に匂いや臭いをあまり感じなくなり、23週の現在、すっかり元の鈍感な鼻に戻っています。
 まったく、不思議です。

 それで、思い出したのが、映画『レナードの朝』(1990、アメリカ)。
 実話をもとにした作品で、ロバート・デ・ニーロ、ロビン・ウィリアムズというビッグスターの演技も見ごたえがあります。
 ストーリーは、精神病院に赴任した医師セイヤーが、30年もの間、病気で意識はあっても話すことも身動きもできないレナードに新薬を投与。彼を奇跡的に目覚めさせるのだが……というもので、結末のせつなさ、やりきれなさは、いまだに忘れることができません。
 原題は『awakenings』。
 “awakening”とは、目覚め、という意味です。

 規模はささやかだけど、私の鼻も目覚めたのだ、と感じました。
 というか、見方をかえると、そんなささやかな目覚めが日々、たぶん何百万人、何千万人の妊婦さんのなかで起こっているわけです。
 それって、『レナードの朝』に匹敵する奇跡なんじゃないでしょうか?

プロフィール

渡辺リエラ
1969年東京生まれ。1988年東京大学文科1類入学。1992年東京大学法学部卒業。出版社勤務、専業主婦を経て、現在、別名義にて大学講師などとして活動中。2007年7月第1子「みーちゃん」誕生。
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