プレママ日記

助産所見学(8週2日)その3

 院長先生から教えてもらった生活上の注意点のなかで、一番びっくりしたのは、
「赤ちゃんに話しかけてちょうだい」
でした。

 8週といえば、まだ20㎜以下ですよ。
 話しかけるとか、そういうレベルには達していないと思うのですが。
 でも、先生は大真面目。
「ちゃんとコミュニケーションをとってください」
 まるで20㎜以下の生命体に、精神というか人格というかそういうもの、があるかのような言い方。

 それどころか、
「何を食べたらいいかは、おなかの赤ちゃんが教えてくれるから」
と、さらっとおっしゃる。
 えっー!
 20㎜以下のおちびちゃんが指示してくれるの?
 そんなことがあるわけない!

 でも、よくよく考えてみると、みかんを食べたとき、吐き出してしまったんですが(みかんを食べてみる(7週3日)を見てね)、そのレスポンスの速さに我ながら驚いたんですよね。
 あれは実は、おちびちゃんが、
〈冷えるから、みかんはイヤや~〉
と拒絶していた、ということだったのでしょうか?

 ふと、タバコを吸ったとき、下っ腹の右側が突然、
「ドク、ドク、ドク」
と言い出したことを思い出して(タバコ(6週5日)を見てね)、院長先生に話してみました。
 先生は何と言ったと思います?
「あら、自己主張の強い子ねえ。いいわねえ」
ですって。

 私はとまどうと同時にびっくりしました。
 そのあと、しばらくして、とてもほんわかした温かい気持ちになりました。

 とまどったのは、私自身も自己主張が強いとひとから言われていて、それは私の欠点だと考えていたんですが、胎児の行動をとおして親である私の欠点まで知られてしまったような気がしたからです。
 びっくりしたのは、私が自分の欠点だと考えていたように、通常、自己主張の強さはマイナスイメージを帯びているのに、先生は「いいわねえ」と肯定的に受けとめていたからです。
 そのあと、ほんわかした温かい気持ちになったのは、今考えると、たぶん、胎児だけでなく、私自身を肯定してもらった気がして、うれしかったからだと思います。

 ともかく、20㎜以下のおちびちゃんは、
「タバコなんて、やめろー!」
と、全身を使って、必死に叫んでいたわけです。

 だとすると、私が寝込んだのは(寝込む(5週2日)を見てね)、
「仕事なんて、あとで好きなだけさせてやるから、今はゆっくりしてろー!」
という指示で、首の痛みも(首が痛い(6週3日)を見てね)、
「目や頭を酷使するな! しばらくのんびりして、オレサマの到着にそなえろ」
というメッセージだったのでしょうか。
 まるで殿様のようにエラそうなおちびです。

 さらに。
 これだけ自己主張の強い子が、鼻の悪い母親の鼻を目覚めさせ、排気ガス、台所用合成洗剤、洗濯用合成洗剤で吐き気をもよおさせる(鼻の目覚め(5週5日)を見てね)。
 ということは、この子は、排気ガス、台所用合成洗剤、洗濯用合成洗剤といった、人工的なシロモノがだいっ嫌いなのでしょう。
 将来は、過激な環境運動家、かもしれません(笑)。
 アー、大変な人をみごもってしまいました、トホホ。

助産所見学(8週2日)その2

 院長先生から、いくつか生活上の注意点を教えていただきました。
 まず言われたのは、からだを冷やさないこと

〈それならもうはじめてるワ〉
と、ちょっと得意になって、
「タートルネックばかり着ています」
「腹巻してます」
「アームウォーマー買いました」
「古いタイツの指先を切って、レッグウォーマー代わりにしています」
 院長先生は、
「いいじゃない」
とうなづいてくれました。

 でも、まだ足りなかった様子。
 三陰交というツボのこと、足湯について伺いました。
 お風呂も、シャワーだけで済ますのではなく、ちゃんと湯船につかるように、とも言われました。
 ただ、問題が。
「夫が熱いお風呂好きで、45℃くらいのお湯を入れて、先に入れ、入れ、と言うんです。せっかく気を遣ってくれているのだから、と無理して入るんですが、出ると気分が悪くってしまって……」
とお話しすると、
「45℃は熱いわね。お湯は40℃以下にしましょう。それに、さら湯はからだによくないの。だんなさんに先に入ってもらって、ぬるくなったところで入るのがいいわね」

 食事についての注意事項は、頭が痛くなりそう。
 どうしてか、ですって?

 まず、からだを冷やす物、例えば、アイスクリーム、冷たいジュース、生野菜、柑橘系、乳製品、麦茶はダメ。
「と言っても、欧米の人にはピンとこないらしいのよ。からだが違うのね。彼らは出産当日とか翌日に退院するでしょ。お産で開いた骨盤がすぐに戻るから、それができるの。狩猟民族だから、食料を求めていつでも動けるように、ということなのかしらね」

 ふーん。欧米とアジアは、やっぱり違うんだなあ。
 だからといって、アジア人はみな同じかというと、そういうわけでもないらしい。

 カレーのように南国で好まれる食べ物や、南国でとれる果物は、からだを冷やすから、食べちゃダメ。
 でも、南の国に住んでいる人は、カレーとかマンゴーとかを食べざるをえないですよね。
 そう尋ねると、
「だから、例えば、タイの分娩時間の平均は日本より少し長いの。それで、タイでは昔から妊婦が飲む漢方薬があって、お産が軽くなるようにしているのよ」

 そのほか、キムチもからだを冷やすのだそうだ。
「お隣りの国の物だから大丈夫かと思いました」
と言うと、
「お隣りといっても大陸と日本は違うのよ」

 結局、日本らしい食べ物、ご先祖様が食べていたような物、がいいらしい。
 例えば、味噌、生姜、長ねぎ。
 果物なら、りんご、さくらんぼ(アメリカンチェリーはダメ)。

 とはいえ、どこまでさかのぼればいいのか?
 最近、「縄文の米」という雑穀米を食べているのですが(おいしいヨ)、やっぱり縄文時代まで行く必要があるのか?(そのころ、ご先祖様はどこにいたのだろう? 東南アジアかもしれないし、大陸にいたかもしれないよ)
 江戸時代くらいでいいのか?
 現実的には、祖父母の若いころ?

 まあ、とりあえずは、洋食を控えて和食中心に切り替える、という感じでしょうか?

 そのほか、アレルギー対策として、肉、大豆やゴマなどのタンパク質は、一度食べたら、中4日、できれば1週間あけてほしい、と言われました。
 そういうのを、回転食って言うんだそうです。

 けっこうきびしいでしょ?
〈助産院で出産するのって、めんどくさい〉
と思われたかもしれませんね。
 でも、ここまで言われたことは、あくまでも原則。

「食べづわりで、キムチが食べたくてしかたないんですけど」
「まあ、つわりの時期はしかたないわね」
という具合に、臨機応変でいいんだそうです
 少しずつ食事制限に慣れていって、だいたい30週くらいからきっちり守るというイメージです。
 それなら、なんとかやれそうです。

プロフィール

渡辺リエラ
1969年東京生まれ。1988年東京大学文科1類入学。1992年東京大学法学部卒業。出版社勤務、専業主婦を経て、現在、別名義にて大学講師などとして活動中。2007年7月第1子「みーちゃん」誕生。
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