生後2日 とんだ勘違い

人の出入りが激しく、不安な夜でした。
1階(診察室や分娩室)で、何かが起こっている気配があります。

午前2時半頃、
「ごめ~ん、遅くなって」
と、夜勤の助産師さんが夜食を持って来てくれました。
明るい声でしたが、なんとなく、あれこれ質問を投げかけてはいけない気がしました。

午前4時頃、ようやくみーちゃんが寝付いてくれたというのに、5時頃、騒がしくて目が覚めてしまいました。
救急車のサイレンの音がだんだん大きくなり、突然、止んだのです。
「まさか、ここ?」
と、恐る恐るベランダに出て下を見たら、ああ、救急車。
しかも、かあさまの真下に担架にあり、その上に真っ白な顔の女性が横たわっていました(辺りはもう明るくなっていたので、顔色までわかったのです)。
「色黒で丈夫そうなUさんが、あんなに白く細くなって……」
と、号泣しました。
(注:産後は、このようにナイーブになるものらしいです。)

後から知ったのですが、担架の上にいたのは、もともと色白でほっそりとしたTさんでした。
出血が多いため深夜に入院したものの、血がどこから出ているか、わからなかったらしいです。
救急車で提携病院に行き、そこで無事出産したとのこと。
ほっとしました。

Tさんには2人のお子さんがいましたが、どちらも病院で出産したそうです。
「3人目を産むベテランだから、助産院で大丈夫だろう」と、ひょっとしたらTさんは考えたのかもしれません。
一般的なイメージでも、そうだと思います。
でも、院長先生は、
「2人目のお産が一番楽。3人目以降は意外と危ない
と、以前から言っていました。
その“予言”が不幸にも当たってしまったわけです、もちろん、病院で出産できているので、結果的にはOKなんですが。

ただ、当日のかあさまは、そんな事情も知らず、朝ごはんを食べても、昼ごはんを食べても、不安を抱えたままでした。
今考えれば、助産師さんをつかまえて聞けばよかったのだと思いますが、その時は、精神状態もナイーブになっているし、聞くのも怖かったんです。
病院での最後の妊婦健診の日、診察が終わったときにドクターに言われた
「お互い、このまま会わずに済むといいわね」
という言葉(最後の病院健診(36週0日)を見てください)が耳鳴りのように響きわたっていました。

夕食後、夜勤の助産師さんが様子を見に来てくれましたが、初めて会う助産師さんでした。
だからなのか、もともとのキャラクターなのか、なんとなく事務的な感じ。
「(みーちゃんの)お顔すっきりしたでしょう」
と言われても、
「産まれた時の“ゲレンデのような顔”のまんまだな」
としか思えないかあさまは、
「さあ、どうでしょう」
みたいな返答しかできず。
それなのに、
「そうなんです、この頃になると、むくみが取れるんです」
(いったい何が「そう」だったのだろう? いまだに謎です……)
と、教科書に載っている想定問答集(本当にそんなものがあるかは知りませんけど)通りの対応。

そんな言葉なら、要らないよ。
こっちは、毎晩夜泣きされ、みーちゃんが憎らしくなりはじめているんだよ

その後、義母が2回目のお見舞いに来てくれたので、
「お母さん、来てくれてほんとに良かったです」
「担架に載ってるのは、誰がどう考えても、私のはずなのに……」
と、この日に起こったあれやこれやを、切々と訴えました。

聴き終わった義母は、
「幸運に感謝しなさい」
と言いました。
まったくその通りだ、と思いました。

さらにその後、
「足を見に来たわ」
院長先生が来てくれたので、
「見てください。このモデルのような脚! 妊娠前より、細くて柔らかいんです」
と自慢しました。
変な人だと思われるかもしれませんが、本当にカモシカのような脚だったのです(たぶん、一生で、最初で最後でしょうね)。

そして、よもやま話をしました。
「よく頑張った。叱られてもへこたれず」
「体力に自信がなかったので、気力だけだったんですよ。短期決戦しかないと思っていました」
……
「担架に載ってるのは、誰がどう考えても、私のはずなのに……」
「……あなた、頑張ったもの」
……
いっぱい褒めてもらって、心が落ち着きました。

後から聞いた話では、この日、Uさんと、もう一人エンジョイバース(38週2日)で一緒だったSさんの、計2人のお産がありました。
Sさんは2人目のお子さんのお産で、水中出産だったんですけど、
「ぜーんぜん痛くなかった」
そうですよ。
羊水(水)から水への移動なので、自然に出て来られるらしいです。
「次」があれば、水中出産もいいかなあ。

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プロフィール

渡辺リエラ
1969年東京生まれ。1988年東京大学文科1類入学。1992年東京大学法学部卒業。出版社勤務、専業主婦を経て、現在、別名義にて大学講師などとして活動中。2007年7月第1子「みーちゃん」誕生。
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