唐突ですが、私、鼻が悪いんです。
アレルギー性鼻炎っていうんでしょうか。
子どものころから、鼻が詰まったり、ゆるんだり。
春は目もかゆくなるので、花粉症もあるんだと思います。
そのせいでしょうか、匂いに鈍感なんです。
悪い臭いに鈍感なのは都合がよいですが、なんといっても悔しいのは、良い匂いをかげないこと。
夫は、
〈前世は犬だったんじゃない?〉
と、イヤミを言いたくなるほど鼻が利くんですが、彼に、
「あ、梅の香り……。そうか、君にはわからないよね」
と言われたときの、みじめな気持ちといったら、ありません。
その鼻が変わりました!
匂いに敏感になったんです。
最初に気づいたのは、ごはんの炊きあがる匂い。
よく、つわりの例として、ごはんの炊きあがる匂いで気持ち悪くなる、と聞きますが、私の場合、気分が悪くなることはありませんでした。
ただ、
〈ごはんが炊きあがるときって、こんな匂いがするんだあ〉
という発見と感動あるのみ。
もちろん、気持ちが悪くなる匂いもありました。
例えば、微妙かつ繊細な、かつおだしの匂い。
そのせいで、お煮しめが食べられなくなりました。
肉じゃがとか、もう少し濃い味付けなら大丈夫なんですが。
それにしても、ごはんの炊きあがる匂いでは気持ち悪くならないのに、かつおだしの匂いだと気持ち悪くなるって、どーいうことなんでしょうか。
どっちも和食の定番の匂いだし、強い匂いじゃないところも似ているのに……。
そのほか、吐き気をもよおした臭いは、こんな感じです。
排気ガス
台所用合成洗剤
洗濯用合成洗剤
駅前が谷のような地形になっているためか、いつも排気ガスの臭いがこもっていて、出かけるときはマスクが必需品でした。
台所用合成洗剤に関しては、○ョイがダメ。ヤシノミ洗剤の臭いは気になりませんでした。対策としては、基本的に、重曹の1%溶液かヤシノミ洗剤で洗い、油ギトギトのものは○ョイで夫に洗ってもらいました。ありがとよ。
洗濯用合成洗剤では、○ールドがダメ。アタックは大丈夫。夫は○ールドがお気に入りなので、夫の服やタオルは自分で洗濯してもらいました(これは良い習慣!なので、続行中)。さらに、一番つわりのきつい時期は、○ールドをやめて、アタックを使ってもらいました。なお、私が洗濯するときは重曹を使いました。
こんな感じで、けっこう苦労していました(私が、というより夫が、かもしれないけれど)。
ところが、14週くらいからだったでしょうか、次第に匂いや臭いをあまり感じなくなり、23週の現在、すっかり元の鈍感な鼻に戻っています。
まったく、不思議です。
それで、思い出したのが、映画『レナードの朝』(1990、アメリカ)。
実話をもとにした作品で、ロバート・デ・ニーロ、ロビン・ウィリアムズというビッグスターの演技も見ごたえがあります。
ストーリーは、精神病院に赴任した医師セイヤーが、30年もの間、病気で意識はあっても話すことも身動きもできないレナードに新薬を投与。彼を奇跡的に目覚めさせるのだが……というもので、結末のせつなさ、やりきれなさは、いまだに忘れることができません。
原題は『awakenings』。
“awakening”とは、目覚め、という意味です。
規模はささやかだけど、私の鼻も目覚めたのだ、と感じました。
というか、見方をかえると、そんなささやかな目覚めが日々、たぶん何百万人、何千万人の妊婦さんのなかで起こっているわけです。
それって、『レナードの朝』に匹敵する奇跡なんじゃないでしょうか?
Trackback
トラックバックはありません
Comment
コメントはありません