年末年始に計3回、保育園の子たちを誘って、百人一首イベントを企画・開催しました。
百人一首のすすめで、「どうやって、親が覚えさせたいものを覚えるように仕向けたらいいのでしょうか」という問いを投げかけました。
このエントリは、イベントの説明とともに、そのヒントも示そうという、非常に野心的なエントリとなります。
ヒントとは、ひとことで言えば、
「子どもが興味をもつような、子どもが『いいな!』と思うような、きっかけをばらまく」
だけなんですけどね。
「そんなことわかってるわよ~」
とおっしゃるママもいるかもしれないけれど、それでは、すでに2つヒントが出ていることにお気付きでしょうか?
ヒント1
時期も大事。「年末年始」は、百人一首をニュースなどで見聞きする機会が多い。
ヒント2
友だちからの刺激も大事(比較して劣等感を抱いたりして逆効果になることもありうるので、そこは要注意)なので、「保育園の子たちを誘って」やることにする。
まあ、書いてみると、当たり前のことなんですけどね。
それをきっちり押さえることが大事なんですよね。
では、この調子で続けますよ~
場所は、地元の地域センターのひろーい和室。
うちのように和室のないお宅は増えていると思います。
しかも、いまどき、30畳はあろうかという、しかも正方形に近い畳の空間なんて、神社仏閣くらいでしかお目にかかりません。
そこで、「ひろーい和室」で「オ~!」と思わせる作戦。
というわけで、
ヒント3
どこでやるか(雰囲気作り)は大事です。
さて、使用したのは、大石天狗堂本店の決まり字五色二十人一首。
なぜこの“百人一首”を使ったかと言うと、まず敷居が低いからです。
100枚のかるた札が20枚ずつに分かれているので、10分とか20分で1勝負できます。
小さい子どもは一般的に集中できる時間が短いので、20枚ずつ遊ぶのはとても良いと思います。
というわけで、
ヒント4
いくら良いものだからと言って、大人の目線で押し付けない。子どもの呼吸に合わせて、道具も選びます。
しかも、取札の裏には上の句が印刷されているので(画像参照)、
「取った人は、取った札を上の句から読む」
というルールにすれば、読んで覚えたり、聞いて覚えたりすることができます。
SDIN無料ゲームの「百人一首(練習かるた)」でも、ゲーム感覚で(というか、まさにそのゲームなんですけど)覚えられると思います。
というわけで、
ヒント5
遊びの中で覚える、楽しみながら覚える、は大事です。
さて、決まり字五色二十人一首を使ったもう1つの理由ですが、それは、決まり字別に20枚ずつ分かれているので、すっかり覚えてしまって競技かるた状態の子と、そうでない子が一緒に遊べることです。
決まり字とは、ここまで聞けば札を特定できるという、歌の最初の数文字のこと。
子どもの記憶力は強烈なので、何度かやっているうちに、100枚全部は無理でも数枚は、上の句の最初の数文字で歌がスラスラと出てくるようになるはず。
もしそうなっても、決まり字別に分かれているので、決まり字の変化を楽しみながら、競技かるたと同じ感覚で札を取ることができます。
そして、そういう子が1人いると、下の句を最後まで聞いてから同じ句が書かれた取札を探しているような子どもたちも刺激を受け、あっという間に頑張って何首か覚えてしまうことでしょう。
というわけで、
ヒント6
子どもの能力ははかりしれません。
「ここまではできないだろう」ではなく「ここまでできるかもしれない」と考え、子どもの成長を妨げないよう、先回りして備えておきましょう。
とは言え、初めての百人一首は子どもにとって、かなりのハードルであるはず。
そこで、Eテレ「にほんごであそぼ」のいろはかるた、四字熟語かるたも準備し、子どもたちの意見を聞きながら、かるたを先にやったり、百人一首をやってからかるたをやったり、柔軟に対応しました。
かるたを先にやった場合は、
「後半(下の句)が書いてある札を取るんだよ。かるたと同じだよ」
という説明ができるメリットもあります。
坊主めくりもやりました(かなり盛り上がりました!)。
というわけで、
ヒント7
「ここまでできないかもしれない」場合も想定し、準備をしておきましょう。
無理強いは禁物です。
さて、百人一首の読誦CDも持参しましたが、かるたのときにBGMのように使い、百人一首のときは誰かが読むことにしました。
最初は百人一首を読むのが得意なママにお願いしました。
というのも、読誦CDはたいてい競技かるたの読み方なので、格調高い反面、正直言って平板で、非常に覚えにくいです。
そのママがやったように(遊びで百人一首をやるときは、こちらが一般的な気がしますが)抑揚(節)をつけて読むと((低い)ラレレレレ ミ(高い)ララララファファ ミミミミミ ドドドドドミミ ミミミミミミミ)、子どもも興味を持ちますし、かなり覚えやすいです。
百人一首が初めての子どもに、
「ドドドって低くなった部分を(後半(下の句)の頭の数文字にあたる)よく注意して聴いて、それが書いてある札を取るんだよ」
と説明することも可能です。
競技かるたでは、前の札の下の句から読みはじめ、その札の上の句までで読むのをやめることが多いです。
上の句の最初の数文字(決まり字)で札を取ってしまっていますので、下の句まで読む必要がないからです。
でも、私たちは、前の札は読まず、その札の上の句、下の句を順に読みました。
もちろん上達したら、競技かるたルールでもよいかと思います。
正しい(?)読み方を知りたい方には、百人一首かるた指導入門書の第一章6 なぜ、いま『百人一首かるた』なのか 読み手として、留意して戴きたいことがお役に立つかも。
ただ、素人が読む場合、読み方がわからないという問題が発生します。
例えば、このエントリを書くためにYou Tubeの読誦動画を相当数視聴したのですが、読み方が間違っているものがありました。
ひどいものになると、「かりほの庵の」を「カリホノイホノ」と読んでました(言いにくい! 正解は「カリオノイオノ」)。
なので、小倉百人一首の読み方を参考にされるとよいと思います。
そして、現場へはアンチョコとして『原色小倉百人一首』(文英堂)を持参しましょう。
なお、持参した読誦CDは、美しい言葉(38週6日)で触れた「小倉百人一首」(KING RECORDS)です。
ここ1年くらい、ほとんど毎晩のように、このCDをかけながら眠っています。
もっとも、格調高い読誦のおかげですぐ眠りに落ちるので、ほとんど記憶に残っていないと思いますが。
というわけで、
ヒント8
絵本の読み聞かせにも通じる話ですが、生の声、しかも知っている人の声の効用は大きいです。
ヒント9
正式なルール、正しいやり方にこだわり過ぎないで、子どものレベルに合わせましょう。
さて、読むことに興味を示すので、子どもたちに札読みにも挑戦してもらいました。
早速、親たちが読んだのを耳コピして、抑揚をつけて読んでいたので、やるなあ、と思いました。
こうやって覚えたら、そう簡単には忘れないはず。
予想外の効果として、子どもが読むと、変な間があいたり、読み間違ったりするので、取るほうはスリル満点で、かなり面白かったです。
というわけで、
ヒント10
子どもが何に興味を示すか、に気を配って、臨機応変に対応しましょう。