22時ごろ陣痛が再開(陣痛よ、来い(39週4日)を見てください)。
さすが、ひまし油。
「朝までに産まれなかったら、病院に行きましょうね」
と院長先生に言われていたので、まずはホッとしました。
でも、院長先生、追い詰める、追い詰める。
「ひまし油を飲んでも、波に乗れない人はいるのよ」
くそ~っ!
つるりと産んでやる~!
とにかく、すべての波に乗ろうとしました。
気分は、
「ずっと仕事が忙しくて、やっと休みが取れたサーファー」
です。
陣痛は規則的にやってくるのですが、収まったときは、みーちゃんたーちゃんに早く下がってもらうため、トイレまで歩いたり、スクワットをしたりしましたよ。
さて、陣痛について。
はじめは、生理痛の重いの、という感じです。
四つんばいでじっとして、やり過ごすことができるくらい。
過ぎ去れば、普通に話したり、動いたりできます。
それが、だんだん痛みが強くなって、間隔も近くなってきます。
いえ、痛い、という言葉はしっくりきません。
重い、という感じかな。
漬物石が回転をかけながら、身体の中央を通過している感じです。
これには腹が立ちました。
痛い、じゃなくて、怒り、です。
「勝手にひとの身体の中、とおるな~!」
「誰が通っていいって言った~!」
通過しているのは、みーちゃんたーちゃんなんですけど。
でも、そうとわかっていても、ホント頭に来ました。
時間が経つと、だんだん怒る余裕もなくなります。
陣痛が来ると、漬物石に身体を乗っ取られたかのよう。
わらにもすがりたい気持ち、と言ったらいいんでしょうか。
迷子の子猫ちゃんのように、心細い気持ちになります。
この段階の女性を見たら、
「これは、神が女性だけに与えた罰だ」
と思うかもしれないと、思いました。
何を言っているか、わかりませんよね。
キリスト教の聖典である聖書の創世記に、こんな話があるのです。
女は蛇にそそのかされて、神様から食べてはいけないと言われていた果実を食べ、男(アダム)にも渡しました。
それを知った神様は、女に言いました。
「お前のはらみの苦しみを大きなものにする。お前は、苦しんで子を産む」(創世記3章16節)
かあさまは、ずっと子どものころから、
「出産は罰かよ! 古代ユダヤの男たちは、なんて心が狭いんだろう!」
と思っていたのですが、いざ自分が当事者になってみて、
「たしかに、この場面だけ見たら、神様が与えた罰だと思うかもしれない」
と感じたのです。
そのくらい、制御不能なんです。
人間の力ではどうしようもないんですね~
そんなわけで、かあさまはひたすら、
「早く出ろ!」
と、低い声で怒鳴っていました。
先生たち、笑ってましたけど。
「頭が出てきましたよ」
と助産師さんが教えてくれて、頭を触りました。
ごわごわ?
ヘンな手触りです。
その頃から、猛烈に痛くなりました。
出口に鋭い痛みが走ります。
「こんなの二度とイヤだ~」
と叫ぶほどの痛みでした。
頭が出ると、あとはラクだと言いますが、かあさまの場合は、頭が出た後も痛かった。
実は、会陰が切れていたんですね~
普通、助産院では、会陰が切れないようにのばす介助がされます。
かあさまのときももちろんそうだったのですが、ちょっと切れてしまいました。
そのくらい、かあさまがあせっていたのです。
そして、
「早く出ろ!」
という声を聞いて、みーちゃんたーちゃんも急いで出てきたんですね。
なんて律儀者なんでしょう。
それと、みーちゃんたーちゃんがデカかった。
とくに、胸囲。
頭囲と同じでした。
痛いはずだ。
39週5日1時50分出産。
分娩所要時間、4時間25分。
女の子なので、みーちゃんです。
体重3350g。
身長50.5㎝。
胸囲33.5㎝。
頭囲33.5㎝。
つるりと出てきた瞬間、
「みーちゃんたーちゃん!」
と呼びかけたら、
「ほよ」
という表情で、かあさまのほうを向きました(そんな気がしました)。
そのときの顔を、一生忘れることはないと思います。