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地図との付き合い方

少し前に買った福島県産の新米2kg、食べ終わりました。

「え、福島?」
驚くママもいるかもしれませんね。

「最近、参考にしている地図」「食べ物と放射性物質」で書いてたことと矛盾してない?」
なんてツッコミもあるかも。

とくに、福島市大波地区で生産されたお米から、国の暫定規制値(1キロ・グラムあたり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されたばかりですし。
読売新聞によると、政府は17日、同地区産のお米を出荷停止にしたそうですね。
なお、セシウム汚染でコメが出荷停止となるのは初めてです。

さて、まあ、ちょっと聞いてくださいな。

うちが食べ終わったお米は、福島県西会津町のお米です。
原発事故のあと、私は食料を、普通のスーパー、ネットスーパー、八百屋さん、魚屋さん、自然食料品店などを適宜使い分けて購入しています。
お金も時間もかかることなので、「無理のない範囲で」やってます。

ある日、自然食料品店にお米を買いに行き、その西会津町のお米を「おいしいから」と勧められたのです。
「福島のは買えないですよ~」
こういうことは外では口にしないようにしていたのですが、思わず出ちゃいましたね。

そしたら、店のご主人が、その農家さんが独自に検査した結果のコピーを見せてくれました(というか、貼ってあったんですが)。
そこには「不検出」の文字が並んでいました。
検出限界は、たしか1キロ・グラムあたり10ベクレルだったと思います。

そこで私は、
「ちょっと調べてみます~」
と言ってiPhoneを取り出し、その農家さんの住所をGoogle Mapで検索しました。
新潟県との県境まで、ごく近い地域であることがわかりました。

次に、「文部科学省による福島県西部の航空機モニタリングの測定結果について(平成23年9月12日)」の5ページ目「文部科学省による福島県西部の航空機モニタリングの測定結果について(福島県内の地表面へのセシウム134、137の沈着量の合計)」の地図を必死で思い出し、
「この辺りは沈着量がかなり少なかったはず」
という結論に達しました。
その結論にプラスして、その自然食料品店がもし潰れてしまったらとっても困る、という現実的な事情から、率直に言って清水の舞台から飛び降りるような気持ちで、そのお米を買いました。

で、帰宅後まず見たのは、「最近、参考にしている地図」でも言及した「早川由紀夫の火山ブログ」の「放射能汚染地図(四訂版)」
そしたら、微妙に汚染されていることになっていて、
「アチャチャ~」
なのでした。

まあ、記憶の中の地図が少しずれていたから(記憶力の低下、とも言います)、こうなってしまったのですが、
「どっちの地図を信用しよう……」
と、すっかり気弱になってしまいました。

が、それも3秒くらいのこと。
「こんな大事故が起こったんだから、“リスクゼロ”は無理。自分なりにベストを尽くした、と割り切ろう」
と気持ちを切り替え、家族みんなで福島の新米をおいしくいただきました。

ただ今後、買い物に行ってあれこれ悩む時間を短くするため、「早川由紀夫の火山ブログ」の「お買い物マップ」をiPhoneのお気に入りに追加しました。

ほんとは、「文部科学省による、岩手県、静岡県、長野県、山梨県、岐阜県、及び富山県の航空機モニタリングの測定結果、並びに天然核種の影響をより考慮した、これまでの航空機モニタリング結果の改訂について(平成23年11月11日)」の29ページ目「文部科学省がこれまでに測定してきた範囲(改訂版)及び岩手県、静岡県 長野県、山梨県、岐阜県、及び富山県内の地表面へのセシウム134、137の沈着量の合計」も見られるようにしたかったのですが、失敗(なんでかな?)。
ちなみに、この平成23年11月11日発表のPDFは、岩手、静岡、長野、山梨、岐阜、富山の計6県で9~10月に行った航空機モニタリング結果を公表したものですが、東北と関東の公表済みの県については、天然の放射性物質の影響を除いた改訂版となっています。
この航空機モニタリングは青森、石川、福井、愛知の計4県でも新たに行っていて、近々公表されそうです。
これらのデータは、「文部科学省放射線量等分布マップ拡大サイト」でもっと細かく見られるようにしてくれるそうですよ(早くやっておくれ)。

これで、
「まあ、なんとか一件落着」
と安心していたら、甘かった。

セシウム137(半減期約30年)が、3月20日からの1カ月間に、中部や中国、四国地方の山岳地帯や北海道の土壌に沈着した可能性があることが、米科学アカデミー紀要電子版に発表されました。
米大学宇宙研究協会(USRA)や名古屋大、東京大などの国際チームが行ったシミュレーションの結果とのこと。

「そう言えば、そんなシミュレーションを4月くらいに見た記憶があるなあ…」
「3月から頑張って西日本や北海道の食料を探して買っていたのに、その努力は無意味だったのか…」
また落ち込みました。

でも(と、すぐ立ち直る)、考えてみれば、これはあくまでもシミュレーションであって、実際に測ったわけではありません。
なので、基本は文科省の地図を参照しつつ、それを過信しなければいいのかな、と考えなおしました。
つまり、
「それ以外の地域はすべて、リスクゼロ」
などと単純化しないってことです。
で、モニタリングされていない地域にもホットスポットがある可能性を考慮するなら、とりあえず、1つの産地に固執しないほうがいいと思いました。

いやあ、地図との付き合い方って、ほんと難しいですね。
みなさんは、いかがでしょうか?
地図をはじめとする放射能情報と、うまく付き合えていますか~?

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プロフィール

渡辺リエラ
1969年東京生まれ。1988年東京大学文科1類入学。1992年東京大学法学部卒業。出版社勤務、専業主婦を経て、現在、別名義にて大学講師などとして活動中。2007年7月第1子「みーちゃん」誕生。
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