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それでも武田双雲『しょぼん ひらがな』を勧める理由

武田双雲『しょぼん ひらがな』の凄さでオススメしている『しょぼん ひらがな』についての補足です。

“調べ物”をしていて、サイゾーの2008年の記事『いいとも!』書道家・森大衛が武田双雲をブログで添削指導!?が目に入りました。
そう言えば、そんなこともあったなあ、と、通り過ぎようと思ったのです。

ですが、当時はさておき、今や、このサイト内で武田双雲さんの本をオススメしているわけですから、きちんと確認しておこうと、森大衛さんのブログへ飛んだところ……青ざめました。
この件は、森さんが一般の方からの質問メールに対して、ブログ上で丁寧に添削指導したところ、メールで“ダメなお手本”とされていたものが実は、テレビ番組内で武田さんが掲げたお手本だった、ということのようです。
私がなぜ青ざめたかと言うと、武田さんが書いたらしい“ダメなお手本”が、どれも茫洋としていて、まったく魅力に欠けており、私はこんなヒドイ字の載った本をオススメしてしまったのか、とショックを受けたからです。

ですが、結論として、オススメを撤回する必要はないと考えています(1個所だけ修正しました。書家→書道家です)。
というのも、“ダメなお手本”は『しょぼん ひらがな』の字とは別物だと感じられたからです。

「書道家 森大衛の“書道神経を磨け”」の子供たちの書き初めに向けて『あ』で、「2画目の筆の回転がうまくいかずに筆がか細く割れてしまいました」と指摘されている「あ」は、『しょぼん ひらがな』ではもっと堂々としています(ただし、若干、かすれている)。
子供たちの書き初めに向けて『い』と異なり、『しょぼん ひらがな』の「い」の上部はだいたい揃っています。
子供たちの書き初めに向けて『お』と異なり、『しょぼん ひらがな』の「お」は元気です(森先生のお手本ほど、元気ではありませんが)。
子供たちの書き初めに向けて『ひ』より、『しょぼん ひらがな』の「ひ」も元気です(でも、右が下がっている点は同じです。私もいつの間にか下がって書く癖がついていたので気付きませんでしたが、たしかに、書道を習っていた子ども時代には、左右の高さを揃えるように指導されたような気がしますし、元の字である「比」から考えても高さを揃えるべきなのかも)。
子供たちの書き初めに向けて『る』より、『しょぼん ひらがな』の「る」は覇気があります(でもやはり、最後の回転の突き上げは甘いです)。

癖がとっても似ているので、同一人物が書いたのだろうなあ、という気はしていますが、お手本として書いたものが、なんでこんなに違うんだろうと驚くくらいに、違います。
とすれば、『しょぼん ひらがな』まで否定する必要はないと考えました。

また、そもそも私が『しょぼん ひらがな』をオススメしている理由というのは、「コミュニケーションの道具」としての文字にフォーカスしている点、そして「親子でいっしょに“見て、感じて、楽しむ”」というコンセプトに賛同したからでありました。
それらの点においては、いまだ『しょぼん ひらがな』を超える本はないように思います。
また、そうした部分は、著者である書道家・武田双雲よりむしろ、アートディレクションの佐藤可士和、池田書店の担当編集者といった方々の仕事なのかな、と漠然と感じています。
出版はチームワークですからね。

もちろん、正真正銘の書家である森先生がそうした絵本テイストの書本を作ってくだされば、最高です!
でもお忙しいでしょうから、私たち親としては、すでにある物の良いところ、悪いところを見極めながら、使い分けていかなければならないわけですね。

同時に、『しょぼん ひらがな』からの卒業時期も見極めなければなりません。
実は冒頭で書いた“調べ物”とは、書道教室探しだったのです。
『しょぼん ひらがな』はすでに書き込みだらけで、ボロボロになっていますので、次は先生につくことを考えるべきかなあ、と思いました。
しかし、テレビで子育て――ノンジャンルで書いたように、趣味Do楽の「柿沼康二 オレ流 書の冒険」2012年度 趣味Do楽 月曜日のバックナンバーのページに番組紹介が載っています)が気に入って、録画ビデオを繰り返し観ている小学生を、いったいどこの教室に連れて行けばいいのやら……。

もちろん、森さんが「あ」「い」「お」「ひ」「る」で書かれているように、「書写的指導と、書芸術的指導の違いはキッチリわきまえるべき」であり、指導していただく側から言い換えれば、
「書写と、書芸術の違いはキッチリわきまえるべき」
ということなのでしょう。
ですので、小学1年生の分際で、書芸術の指導をいただこうと考えているわけではありません。
ただ、書写をご指導いただく場合であっても、そーいう子は、例えば「前衛なんてけしからん!」とちゃぶ台をひっくり返すタイプの先生とはどこかしら相性が合わず、いつしか書が嫌いになってしまうのではないか、そうならないように、慎重に教室を選ばなくては、と考えているのです。

あと、私自身、書道を小学生の約6年間習いましたが、親が決めた近所の教室で、しかも、自作の詩を書かせるようなフリースタイルの先生だったため、いまだにあの6年間をどう位置づけていいのか、わからずにいます。
どういうことかと言うと、例えば、今また書道を習おうと思い立ったとして、普通だったら、
「○○先生系の△△先生にご指導いただきました」
と言えば、心得のある人に、
「だったら、☆☆先生のところに行くといいわよ」
と教えてもらえたりするんじゃないかと想像するわけですが、フリースタイルの先生に指導された場合は、それが期待できないのです。
自分としては、それなりに6年間頑張ったという自負はあるものの、それは客観的に見たら、とんでもない方向に進んでいた、のかもしれないし、円の中をグルグルと回っていただけ、なのかもしれません。
そういう無駄は、自分の子どもには味わわせたくないと思っています。

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プロフィール

渡辺リエラ
1969年東京生まれ。1988年東京大学文科1類入学。1992年東京大学法学部卒業。出版社勤務、専業主婦を経て、現在、別名義にて大学講師などとして活動中。2007年7月第1子「みーちゃん」誕生。
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