14年9月、iPhone、iPad、iPod touch、MacといったApple製品においてファミリー共有という仕組みがスタートしました。
これは、最大6人までがファミリーとなって、写真やカレンダー、音楽や映画、電子書籍、ゲームなどを共有できるという画期的な制度です。
数年前、電子書籍に対する批判として、
「紙の本だったら、『これを読んでみて』と家族に勧めることができるが、電子書籍は、それができない」
といった意見をよく耳にしましたが、ついに、その批判を封じ込めるようなサービスが誕生したわけです。
しかも、音楽や映画、電子書籍、ゲームといった外からやってくるコンテンツだけでなく、写真やカレンダーといった、家族だけのプライベートなコンテンツも共有できるわけで。
うちは、みーちゃんの写真を、夫婦でメッセージに添付する形で送り合ったり、夫がAというオンラインストレージサービスにアップロードした写真を私がダウンロードして、さらにBというオンラインストレージサービスでバックアップをとったり……と、ずいぶん無駄が多かったので、まさに、そろそろシンプルな解決法がほしいと思っていたところでした。
カレンダーについても、みーちゃんの成長とともに予定が複雑化し、家族でのスケジュールの一括管理の必要性も痛感していました。
そこで、ファミリー共有の導入を検討していたわけですが、どこか引っかかりを感じて、踏み込めずにいたのです、半年以上も。
ようやく最近になって、自分がどこに引っかかっていたのかがわかりましたので、シェアしたいと思います。
それはですね、13歳未満の子どもは、あるファミリー共有のグループ(家族)から、そのグループの管理者の意思に反して抜けることができない、という点です。
もちろん、リアルにおいて保護者を必要とする状況を、そのままネットに持ち込んで、13歳未満の子どもは必ずどこかのファミリー共有グループに属さないといけない仕組みにしたことは、とてもよく理解できます。
ただ、その方針を徹底したため、アップル社のサポートページファミリー共有のグループから抜けるによると、13 歳未満の子どもを家族から削除する「必要がある場合は、別の家族に移すか、またはお子様の Apple ID を削除すること」になります。
前者のケースでは、別の家族の管理者が登録案内を子ども宛てに送信するのですが、現在のファミリー共有グループの管理者のところに通知が届きますので、現在の管理者は、別の家族での登録を拒否することができてしまうのです。
また、後者についても、13歳未満の子どもの Apple ID を削除するのは、管理者の仕事となります。
つまり、現在の管理者が、抜けることを許さない場合は、13歳未満の子どもは現在のファミリー共有グループにとどまらざるを得ないのです。
「それのどこが問題なのか?」
と思っている人もいるでしょう。
では、上の文章で、「現在の管理者」を「夫」に置き換えてください。
かつ、夫のDV(ドメスティック・ヴァイオレンス)から妻と13歳未満の子が逃げようとしている状況を想像してみてください。
その状況において、
13歳未満の子どもは、あるファミリー共有のグループ(家族)から、夫の意思に反して抜けることができない。
別の家族の管理者(例えば、母方の祖父)が登録案内を子ども宛てに送信すると、夫のところに通知が届き、夫は、その登録を拒否することができる。
13歳未満の子どもの Apple ID を削除できるのは、夫のみ。
つまり、夫が、抜けることを許さない場合は、13歳未満の子どもは現在のファミリー共有グループにとどまらざるを得ない――これは恐怖以外の何物でもないと思います。
もちろん、写真はファミリー共有しなければいいし、現在地も、自分の位置情報を共有する設定にしなければ、なんとか隠せそうです。
さらに、アプリなどの購入の際、夫に承認を求めないといけない関係になりますが、それもなんとか許せます。
そもそも、子どもにApple製品を使わせなければ、問題は起こらないはずです。
だから、実害はない、という考え方もあるかもしれませんが、東洋経済オンラインの3日に1人妻が殺される!日本のDVの実態を読んで、私はすっかり怖くなってしまいました。
でも、子どもにはApple製品を使わせたい、というか、すでに使いこなしています。
そこで、私は、ファミリー共有という制度がスタートする前の設定をそのまま維持し、子どもが13歳になってから、改めてファミリー共有するかどうかを考えることにしました。
私の設定をここでご紹介しておきます。
これは、現在、ほぼみーちゃん専用となっているiPad Airを購入した際(2014年7月、つまりファミリー共有制度がスタートする前でした)に、表参道のアップルで教えてもらったことです。
1 iPad AirのApple IDも私のもの。13歳になったら、子どものApple IDを作成する。
2 iPad Airについて、iCloudは同期しない(iPhoneとPCは同期している)。
3 iPad Airについて、iTunesとApp Storeの「自動ダウンロード」のチェックをはずす(iPhoneについては自動ダウンロード)。
つまり、iPad Airへの情報の流入は手動にするわけです(流出、例えば子どもが撮った写真のバックアップは自動でかまわないと考えます)。
さらに、iPad Airに機能制限を設定し、子どもが使えるアプリや機能、視聴できるコンテンツを制限することで、流入・流出の経路・範囲を制限します。
これは、かなり細かく、個別に設定できます。
もちろん、「子どもに勝手に課金されたら困る」というニーズにもきめ細やかに応えています。
機能制限を使って iPhone、iPad、または iPod touch での購入を制限するを読むと、どういう設定にすれば自分の望む形になるのか、とてもよくわかるはずです。
さらに、iTunes でペアレンタルコントロールを使ってコンテンツの制限を設定するを参照しながら、「露骨な表現 (EXPLICIT) を含むコンテンツを iTunes Store に表示しないように制限」することもできます。
ただ、1つだけ注意点がありまして、iPhone、iPad、および iPod touch の機能制限 (ペアレンタルコントロール) についてに書かれているように、機能制限には、ロック解除とは別のパスコードを設定する必要があるのですが、万一、「機能制限のパスコードを失くした場合、または忘れた場合は、デバイスのデータをすべて消去してから新しいデバイスとして設定し直し、パスコードを削除」するしかありません。
そこだけ注意すれば、安心してiPadを子どもに使わせることができますよ!
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