プレママ日記

スパッツを買う(18週5日)

 だいぶおなかもふくらんできました。
 で、買い物です。

 妊娠前に買ったタイツは、もうきつくて、はきたくありません。
 だからといって、マタニティ用のタイツを買ったとしても、季節的にあとちょっとしかはかないでしょう。
 なにしろ、暦の上では、もう春なんですから。
 というわけで、スパッツを早めに買ってタイツの代用とする計画をたてました。

 ところがまあ、なにごとも計画どおりにはいかないんですねえ~。
 初マタニティパンツ(8週6日)でご紹介した美脚シルエットのマタニティパンツは、スパッツの上にははけませんでした。
 太もも部分がぴったりしすぎてたんですねえ~。

 もちろんこれは予測済みで、今回、スパッツと一緒に、ストレートのマタニティパンツを買っておいたのです。
 カタログを熟読した結果、このパンツはスパッツの上からはけるはずでした。
 でも、それはあくまでも、計算上の話。
 いざスパッツの上にはいてみると、生地同士がひっかかって、へんなシワが寄るんです。
 かっこわるい。
 スパッツなしだと、脚がまっすぐ、すらっと見えて、お出かけにもってこいなんですけどねえ~。
 そうそう、お出かけ、で思い出しましたが、このパンツ、色は黒できれいめの素材感。
 万一の冠婚葬祭用(とくに葬)に購入しました。
 幸い、そういう目的で着用することはありませんでしたけど。

 なんだかスパッツの悪口を言っているみたいになってしまいましたが、もちろん、暖かくなってからは、スパッツは大活躍でした。
 サイズ大きめのマタニティパンツの下にはいたり。
 夏になっても、スパッツを重ねばきしたり。
 これは、私が冷え性なため、助産院で重ねばきを勧められたからなんですけど。
「えー! 夏に重ねばきなんて暑苦しい!」
と思われるかもしれませんが、かいた汗が外側のスパッツに移動するので、内側のスパッツはべたっと肌にくっつかず、なかなか快適でしたヨ。

ベルメゾンネット

知らない子どもに手をにぎられる(18週1日)

 春の匂いを感じたくて、梅を見に出かけました。

 行く途中の、駅ビルのエレベーターでのこと。
 満員に近い状態で、隣りの人とのすき間がないくらい。
 身動きできずじっと立っていると、突然、手にやわらかい感触を感じました。
〈ん?〉
 ちょっと身体をよじって見ると、4歳くらいの男の子が私の手をにぎっていました。
 隣りのお母さんらしき人も気づいたらしく、小声で、
「違うわよ、違うわよ」
と繰り返していますが、坊やは知らん顔。
 かあさまは、
〈かまいませんよ〉
というつもりで、軽く目礼しました。

 坊やは次の階で、するりと手を離してエレベーターから降りていきましたが、残されたこっちの頭の中は、はてなマークがいっぱいです。
 小さな子どもに縁のない生活を送ってきましたし、デパートのエレベーターとかで、たまに子どもと目が合ってニッコリほほえんでも無視され続けてきたのに、どうした風の吹き回しでしょう?
 子どもは妊婦に特別の親しみを感じるものなのでしょうか?

 さらに驚いたのは、梅を見てから、休憩所でお茶を飲んでいたときです。
 ママと一緒に席を立った3歳くらいの男の子が戻ってきて、かあさまの周りを、キャッキャと笑い声をあげながら、グルグルまわるんです。
 まるで誰かと遊んでいるかのよう。
〈誰かって、まさか、みーちゃんたーちゃん?〉
 坊やには、かあさまのおなかのなかのおチビさんが見えているのでしょうか?

 こんなこともありました。
 ある日、バス停で待っていると、後ろの後ろに並んでいる4歳くらいの女の子が、かあさまのおなかの前で仁王立ちしてるんです。
「順番に並んでいるのよ」
と、お母さんに何度連れ戻されても、またちょこちょこと、かあさまのおなかの前に戻ってきました。
 子どもは妊婦が好きなのでしょうか?
 自分がおなかのなかにいたときのことでも思い出しているのでしょうか?
 それとも、おなかのなかのおチビさんとお話ししているのでしょうか?

 そういえば、昔の人は、7歳までは、子どもは人間ではなくて神様からの預かりものだ、と考えていたらしいです。
 だからこそ、
〈やっと人間世界に定着した〉
と、「七」五三をお祝いしたわけで……。

 ひょっとして、7歳未満の子どもには、人間(大人)には見えないものが見えるのでしょうか……?

プロフィール

渡辺リエラ
1969年東京生まれ。1988年東京大学文科1類入学。1992年東京大学法学部卒業。出版社勤務、専業主婦を経て、現在、別名義にて大学講師などとして活動中。2007年7月第1子「みーちゃん」誕生。
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