プレママ日記

みーちゃんたーちゃん誕生(8週3日)

 見学に行った助産院の院長先生から、
「赤ちゃんに話しかけてちょうだい」
と言われたものの(助産所見学(8週2日)その3を見てね)、相手はまだ20㎜以下です。
 話しかけろと言われても、ピンときません。
 気分を盛り上げるために、名前をつけることにしました。

 吟味している時間はないので、直感勝負です。
「女の子だったら、みのりってどうよ?」
「いいんじゃない」
「男の子だったら、たかしげおじさんからいただいたら?」
 たかしげおじさんは、夫をかわいがってくれた伯父で、先日亡くなりました。
「そうだねえ。じゃあ、たかひろでどうだろう?」

 そして、「みのり」「たかひろ」の最初の一字をとって、おちびの呼び名とすることに決めました。
 「みーちゃんたーちゃん」の誕生です。

 ついでに、自分たちの呼び方も決めました。
 それは、「とうさま」「かあさま」です。
 たしか『ベルサイユのばら』(池田理代子著)でルイ16世とマリー・アントワネットが子どもたちにこう呼ばれていたんです。
 「おとうさま」「おかあさま」より親しみやすく。
 「とうちゃん」「かあちゃん」よりきちんとしてる。
 そんなところが気に入って、
〈いつかぜひ、かあさまと呼ばれてみたい〉
と思ってました。
 二十数年かかって、やっと実現しそうです(涙)。

 早速、みーちゃんたーちゃんに話しかけます。
「みーちゃんたーちゃん、かあさまですよ~」
「とうさまですよ~。早く出ておいで~」
「ダメダメ、まだ出てきちゃだめだよ。そこでゆっくりしててねー」

 ほんわか幸せな気分になってきました。

 「胎教」を手元の辞書で引くと、
「胎児によい感化を及ぼすように、母が見聞きする物を選択し、精神の平静を保つこと」
と書かれています(新明解国語辞典 第五版)。
 最近は、胎児に対する早期教育のニュアンスで使われることもある言葉ですが、もともとは、母親である妊婦を良い状態にもっていくことを意味していたんですね。

 要は、妊婦の不安やストレスは胎児に伝わってしまうから、妊婦はできるだけおだやかで安定した気分でいましょう、ということ。
 おなかの赤ちゃんに話しかけてもいいし、何をしてもいいから、とにかく、プレママがほんわか幸せな気分でいればいいんです。
 それなら、教材を使わなくても、お金をかけなくても、おなかの赤ちゃんのためにやってあげられますネ。

 さて、“話しかけ”に話を戻します。
 もしかしたら、
〈話しかけるといったって、胎児にはわからないでしょ? ただの自己満足では?〉
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

 でも、妊娠6か月くらいになると、胎児の耳は聞こえているそうです。
 これは最近聞いた話ですが、友だちの友だちに木村さん(仮名)という人がいまして、彼女は妊娠中、胎児に、
「拓哉(仮名)」
と呼びかけていたらしいんです。
 で、出産後すぐに、
「タクヤ!」
と呼びかけたら、なんと、目も開かないような赤子が振り向いたんですって。
 木村さんはビックリして、問答無用とばかりに「拓哉(仮名)」と名づけたそうです(笑)。
 まあ、聞き覚えのある母親の声に反応しただけかもしれませんが、当事者としては、ナニカを感じずにはいられないですよね。

 果たして、うちのみーちゃんたーちゃんは振り向いてくれるでしょうか?
 振り向いてもらえるように、たくさん話しかけようっと。

助産所見学(8週2日)その3

 院長先生から教えてもらった生活上の注意点のなかで、一番びっくりしたのは、
「赤ちゃんに話しかけてちょうだい」
でした。

 8週といえば、まだ20㎜以下ですよ。
 話しかけるとか、そういうレベルには達していないと思うのですが。
 でも、先生は大真面目。
「ちゃんとコミュニケーションをとってください」
 まるで20㎜以下の生命体に、精神というか人格というかそういうもの、があるかのような言い方。

 それどころか、
「何を食べたらいいかは、おなかの赤ちゃんが教えてくれるから」
と、さらっとおっしゃる。
 えっー!
 20㎜以下のおちびちゃんが指示してくれるの?
 そんなことがあるわけない!

 でも、よくよく考えてみると、みかんを食べたとき、吐き出してしまったんですが(みかんを食べてみる(7週3日)を見てね)、そのレスポンスの速さに我ながら驚いたんですよね。
 あれは実は、おちびちゃんが、
〈冷えるから、みかんはイヤや~〉
と拒絶していた、ということだったのでしょうか?

 ふと、タバコを吸ったとき、下っ腹の右側が突然、
「ドク、ドク、ドク」
と言い出したことを思い出して(タバコ(6週5日)を見てね)、院長先生に話してみました。
 先生は何と言ったと思います?
「あら、自己主張の強い子ねえ。いいわねえ」
ですって。

 私はとまどうと同時にびっくりしました。
 そのあと、しばらくして、とてもほんわかした温かい気持ちになりました。

 とまどったのは、私自身も自己主張が強いとひとから言われていて、それは私の欠点だと考えていたんですが、胎児の行動をとおして親である私の欠点まで知られてしまったような気がしたからです。
 びっくりしたのは、私が自分の欠点だと考えていたように、通常、自己主張の強さはマイナスイメージを帯びているのに、先生は「いいわねえ」と肯定的に受けとめていたからです。
 そのあと、ほんわかした温かい気持ちになったのは、今考えると、たぶん、胎児だけでなく、私自身を肯定してもらった気がして、うれしかったからだと思います。

 ともかく、20㎜以下のおちびちゃんは、
「タバコなんて、やめろー!」
と、全身を使って、必死に叫んでいたわけです。

 だとすると、私が寝込んだのは(寝込む(5週2日)を見てね)、
「仕事なんて、あとで好きなだけさせてやるから、今はゆっくりしてろー!」
という指示で、首の痛みも(首が痛い(6週3日)を見てね)、
「目や頭を酷使するな! しばらくのんびりして、オレサマの到着にそなえろ」
というメッセージだったのでしょうか。
 まるで殿様のようにエラそうなおちびです。

 さらに。
 これだけ自己主張の強い子が、鼻の悪い母親の鼻を目覚めさせ、排気ガス、台所用合成洗剤、洗濯用合成洗剤で吐き気をもよおさせる(鼻の目覚め(5週5日)を見てね)。
 ということは、この子は、排気ガス、台所用合成洗剤、洗濯用合成洗剤といった、人工的なシロモノがだいっ嫌いなのでしょう。
 将来は、過激な環境運動家、かもしれません(笑)。
 アー、大変な人をみごもってしまいました、トホホ。

プロフィール

渡辺リエラ
1969年東京生まれ。1988年東京大学文科1類入学。1992年東京大学法学部卒業。出版社勤務、専業主婦を経て、現在、別名義にて大学講師などとして活動中。2007年7月第1子「みーちゃん」誕生。
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