プレママ日記

子守歌のCDを買う(22週0日)

 見学に行った助産院の院長先生に言われて(助産所見学(8週2日)その3を見てね)、せっせとみーちゃんたーちゃんに話しかけていたかあさま。
 話しかけると言っても、たいした内容ではありません。
 朝起きて、
「みーちゃんたーちゃん、おはよー。今日は晴れてるねー。あったかいのかなあ。何を着ようか?」
 買い物に行って、
「みーちゃんたーちゃん、ほうれんそうが安いよ。青々としておいしそうだね。おひたしにして食べようね」
 かっこよく言えば、実況中継。
 実のところは、独り言、みたいなもんです。

 それでいいんだと思います。
 でもね、買い物中に、
「あー、トマトだあー! おいしそうだなあ。食べたいなあ。でも、トマトを食べるとからだが冷えるんだよね。そしたら、みーちゃんたーちゃん、寒いよね。がまんするよー」
と、恨み節っぽくなったり、車がいっぱいの幹線道路を歩きながら、
「くさいねー。排気ガスくさいねー。なんでこんなに車がいっぱいいるんだろうねー。いやだねー」
と、ぐちっぽくなったりしてくると、どうかと思います。
 みーちゃんたーちゃん誕生(8週3日)でもお話ししましたが、胎教って、要は、妊婦の不安やストレスは胎児に伝わってしまうから、妊婦はできるだけおだやかで安定した気分でいましょう、ということ。
 せっかく話しかけても、恨み節っぽかったり、ぐちっぽかったりでは、もろに不安やストレスがみーちゃんたーちゃんに伝わってしまって、逆効果ですよね。

 そこで、歌を歌うことにしました
 自分がほんわか幸せな気分になれて、みーちゃんたーちゃんも喜んでくれる歌は……と考えて、子守歌を歌うことにしました。
 ところが、かあさまは、子守歌をろくに知りません。部分的に、
「ねーむれー、ねーむれー」
と知っていても、その先がわかりません。
 なさけない。

 というわけで、子守歌のCDを買いました。
 今回買ったのは、「ねむの木の子守歌~ララバイ」というもの。
 「モーツァルトの子守歌」のような超定番から、ガーシュウィンの「サマータイム」みたいな意外な歌まで、18曲入っています。
 何度も何度も、繰り返し聴きました。
 とくに気に入ったのは、「アイルランドの子守歌」。
 買い物に出かけたときや、散歩中に歌います。
 すると、そこは、みーちゃんたーちゃんとかあさま、二人の世界です。
 すぐ脇を車がビューンと走り去っても、もう気になりません。

「妊婦さんって苦手」(21週3日)

 この日、大学時代の友人(女性)とフレンチを食べました。
 友だちと出かけるのも久しぶりだし、外食するのも久しぶり。
 新鮮です。
 ま、フレンチと言っても、1000円なんですけど。
 でも、都内の、しかも神楽坂近辺で、1000円でフレンチが食べられるなんてスゴイと思いませんか?(前菜とメインのみ。コーヒーやデザートは含まず)

 さて、わが友人、まずは「おめでとう」と祝福してくれましたが、直ちにけん制球を投げてきました。
「リアルな話ってダメなんだ」
 ど・リアルな話を聞かされて気分が悪くなった経験があったような口ぶりです。
 妊娠について正確に語ろうとすると、どうしてもリアルな描写が出てきちゃうんですよね。
 でも、はいはい、気をつけましょう。

 さらに、決め球。
「妊婦さんって苦手なんだよね……」
 ひぇ~!
 私も妊婦なんですけど。
 本人を目の前にして、
「あんた、嫌い」
と言うかぁ~?

 でも、私にも、その気持ち、わかるんです。

 妊娠する前、私は意図的に、妊婦さんを視界から排除していました。
 その理由。
 まず一つは、自分が、子どもがほしいのに、まだ環境が整わず、子どもを持てないから、子どもを持とうとしている女性(しかもたいていは年下)を見るのがつらい、ということ。

 二つ目は、街で見かける妊婦さんがへらへらしているというか、幸せぼけ、というか、とにかく、見ていてイライラすること。
 とくに、時間がなくてあせっているとき。
 まあ、自分が妊婦になってみると、妊婦の動きがゆっくりしているというだけだったのかなあ、と思いますが。

 三つ目は、“妊婦は美しい”という言説への反発。
 もちろん、幸せが中からにじみ出てくる美しさ、というならわかります。
 そうじゃなくて、妊婦のからだそのものが美しい、みたいに言う人がいるじゃないですか。
〈そうかあ?〉
 私は、思います。
〈妊婦のからだの線それ自体は、グロテスクでしょ〉

 同意できないわ、とおっしゃる方には、ぜひ川久保玲の「こぶドレス」を思い出していただきたい。
※画像を貼りたかったのですが、権利関係が不明だったので、断念。ご自分で画像検索してみてください。ごめんなさい。

 「こぶドレス」は、コム・デ・ギャルソン1997年春夏の作品で、羽毛のパッドでからだのあちこちをふくらませたものです。
 モデルのからだの背中や肩、腰などがまるでこぶのようにふくらんでいる――それを見ているうちに、胸やお尻のふくらみもこぶみたいなものじゃないか、という気分が生まれてきて、胸やお尻がふくらんでいる、いわゆる女性らしいからだの線が、どうでもよくなるのです。
 かっこいい言い方をすれば、
「男と女という性の境界線を飛び越えてしまう」
わけです。

 もっと言うと、〈背中にこぶがあると身体障害者と烙印を押され、胸にこぶがあるとナイスバディと賞賛される。同じこぶなのに、不思議だなあ〉
という具合に、いわゆる健常者と障害者の境界線もあいまいになってきます。

 そういう感覚で妊婦のからだを見ると、おなかのふくらみもこぶの一種なわけで、
〈普通と違う〉
と、違和感をもつ人には、グロテスクに感じられるのです。
 その印象を、「美しい」という評価に転換させるためには、
〈妊婦のおなかのこぶは特別で、その中には新しい命が宿っている。その命はやがてかわいい赤ちゃんとなって出てくるんだよ〉
という、別のイメージなりストーリーなりが必要なのではないでしょうか。

 友人がどういう意味で、「妊婦さんって苦手なんだよね……」と言ったかは正確にはわかりませんが、当時の私は、
〈イメージなりストーリーなりに惑わされずに、妊婦のからだの線そのものを見ることのできる、眼力のある人だ〉
 と、改めてその友人に敬意を表したい思いにかられました。

プロフィール

渡辺リエラ
1969年東京生まれ。1988年東京大学文科1類入学。1992年東京大学法学部卒業。出版社勤務、専業主婦を経て、現在、別名義にて大学講師などとして活動中。2007年7月第1子「みーちゃん」誕生。
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